2011.06.20

現代音楽作曲家の風景~「クセナキス」音楽と数学の融合

今日から新シリーズ「現代音楽作曲家の風景」をお届けします。なじみの少ない現代音楽作曲家を一人ずつわかりやすく紹介するコーナーです。

今日紹介する作曲家は「クセナキス」(1922-2001)です。クセナキスはギリシャ系の作曲家で、頭文字が「X」から始まる作曲家としても知られています。この人の作曲コンセプトは、ずばり「音楽と数学の融合」です。

クセナキスの師匠は現代音楽の巨匠メシアン。そのメシアンらは現代音楽の技法である12音音楽やトータルセリーと呼ばれる作曲技法を模索していました。

当時の音楽は「新しい」音楽を作るために、クラシック音楽では当たり前である「長調、短調」に従わない音楽を作っていたのです。12音音楽とは1オクターブ12音をある順序で並び替えを行うことで音楽を作ること、トータルセリーは音の高さだけでなく、音の強さ、音の長さなども含めて、あるルールで音楽を作ることです。しかしながら戦後これらの音楽技法は大きな突破口を見出せず閉塞感に陥っていたのです。

クセナキスはメシアンのアドバイスを受けて、数学を使って音楽のルールを作ることにします。その数学技法とは、例えば確率、あるいは積分方程式、群論。

しかし彼の音楽は数学技術の知識抜きで楽しめます。彼の音楽の印象といえば、「規則性とカオスの重なり」。ダイナミックでエネルギッシュな音楽構成の中に緻密な規則性が現れる、二面的な音楽が楽しめます。現代音楽があまりわからなくても、この二面性は楽しめると思います。さらに人間演奏技術の限界に挑んだ(というか限界を超えた?)曲も多く、技術力が高い演奏者の格好のアピール曲となっています。

さて、聴きやすくてクセナキスの特徴がわかる、お勧めの曲を3曲紹介しましょう。

「メタスタシス」

最初期の傑作。弦楽パートが細分化され、グリッサンドの速度が各部で異なって演奏されます。そのため、あたかも聞いている人が「音楽の雲」の中に入り込んだような、不思議な感覚になるのが特徴です。弦楽パート各部のグリッサンドの速度は、楽譜を見るとわかりますが、全体では中世の建築のような規則正しい構造を持っています。ただし、楽譜を見なくても、聴くだけでその構造はある程度聞き取れると思います。

「ルボンa+b」

クセナキスはギリシャ出身ということもあってか、打楽器に強い関心を頂いていました。そのため、打楽器をメインに据えた楽曲も相当数残しています。この「ルポン」は打楽器ソロ曲として非常に有名で、特に後半のルボンbは「一人で演奏しているとは思えない」(というかおそらく一人での演奏は無理?)躍動感溢れる曲が魅力です。打楽器奏者の周りにおびただしい打楽器を置いて、演奏者は変幻自在に打楽器を演奏します。ただし、あまりにも演奏が難しい曲なので、私がコンサートで聴いたときには撥が舞台に飛びました。

「ST-4」

弦楽四重奏の曲ですが、クセナキスにかかると一味違う。各パートの高速グリッサンドが炸裂。グリッサンド同士が複雑な規則性で重なることによって、緊張感と安定感が奇妙に同居する曲です。あまりにも演奏が難しいため、私がコンサートで聴いたときにはバイオリンの弓の毛が演奏中にぼろぼろ落ちてました。

今後も不定期に著名な現代音楽作曲家を紹介します。

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2010.05.01

[書評]十二音による対位法(南 弘明 著)

現代音楽に興味を持ったのは、偶然小学生のときに聞いたストラヴィンスキーの「春の祭典」だった。その後色々な現代音楽の本を読んでいて、「12音音楽」といわれる音楽があることを知った。12音音楽は今でも現代音楽に非常に影響を与える作曲技法である。

では12音音楽とは何だろう?詳しく知りたい方は私のWEBサイトの現代音楽入門「20世紀音楽の世界」をご覧頂くことにして、ここでは簡単な解説でとどめておく。1オクターブの中には(「ド」の音から次の高い「ド」の直前の音までには)、12個の音が存在する。きちんと書くと、「ド」「ド#」「レ」「レ#」「ミ」「ファ」「ファ#」「ソ」「ソ#」「ラ」「ラ#」「シ」の音が1オクターブに含まれる。(ここでは半音表記に#を使った。)この12音全てを1回ずつ現れる列に並べ、(これを音列、あるいはセリーと呼ぶ)、ある規則に従って作曲することを「12音音楽」と呼ぶ。

通常のクラシックやポップスなどは「和声」と呼ばれる「音の調和」を大事にするが、12音音楽では「対位法」と呼ばれるフレーズの重ね合わせが重要になる。12音音楽はバッハの時に盛んだった「フーガ」や「カノン」の技法をふんだんに取り入れている。12音音楽はシェーンベルクが「発明」し、ベルクやウェーヴルンが独自に発展していった。彼らの音楽を聴くと、調性がないのにも関わらずバッハのような「緻密な音」の薫りが漂う。12音音楽は対称性が支配する音楽なのだ。

さて、本の内容に移ろう。先ほど述べたように12音音楽は音列を作成することから始まる。
作曲は音列を順番に並べることのほか、ある音を軸にして、音の高低を逆にする「反転型」、列の音を逆から始める「逆行型」、逆行してさらに反転する「逆行反転型」に分類できる。つまり、一つの音列から色々なパターンにフレーズを変化することができるのだ。更にはそれぞれの音列の高さを平行に移動することができる。実はこの手のフレーズを作る操作は「群論」によって記述でき、理論書によっては詳しい解説があるようだ。

音列はある小節から逆行、反転等に操作することは一般的だ。更にはパートによってそれぞれ異なる音列を利用することも可能だ。このことから、緻密で複雑な曲を自由自在に作成することができる。

ところで、音列自体にも構造を取ることがあることを本では指摘している。例えば12音を3つに区切り、最初の4つの音を素材に次の4音は素材を反転、最後の4音は素材を逆行するような操作で音列を作る。譜面例を見ると、これらの音列の作成テクニックは驚きの連続である。音列自体が構造化することで、確かに音列を聞くだけで均整が取れた感じがする。

以上は紹介した本のほんの触りである。12音音楽の作曲技法について、わかりやすい解説書がないだけに、この本は貴重である。譜面例もたくさんあるので、イメージもしやすいだろう。現代音楽に興味がある人だけでなく、群論や対称性に興味のある方も是非読んで欲しい。そして、時間があればシェーンベルクらの曲を聴いて、譜面を見ることで隠れた対称性を見つけて欲しい。

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2009.06.11

ヒーリング効果たっぷりのクラシック音楽CD(IT疲れの皆様に)

梅雨に入り寒暖の差が大きくなって、結果的に肉体的にも精神的にも疲れやすい時期になりました。そんなあなたにぴったりな、実体験を基にヒーリング効果が大きいと感じたクラシック音楽を紹介します。IT技術者の皆様はBGMとして是非活用してください!

バッハ:バルティータ1番

バッハはクラヴィーア(昔のピアノのようなもの)に対する曲をたくさん書いています。有名なものでは平均律クラヴィーア曲集、イタリア協奏曲、フランス組曲などが挙げられます。このパルティータもクラヴィーアの曲として作曲されました。パルティータとは「組曲」を意味する言葉で、短い曲が複数あつまって今回紹介するパルティータ1番は構成されています。

このCDは名ハーピスト吉野直子さんの演奏による、ハープ編曲版です。パルティータ1番は明るい曲調なのですが、それがハープの音色と本当にマッチして、聞いていると心の底から安らぐ感じがします。バッハというと、フーガのように小難しいイメージがあるかもしれませんが、この曲は聴きやすいので是非お試し下さい。ハープの音色がきっと心を癒してくれます。

バッハ:ゴルトベルク協奏曲

もう1曲バッハ。この曲は不眠症の人のために作られたというエピソードで非常に有名な曲で、実際不眠症治療のために活用されているとのことです。最初のゆっくりとした長調のテーマがあって、それを発展していきます。最後の締めでもう一度テーマが表れて終わりです。長さが一時間近くもあるので普通の人は聞くと心が落ち着いてだんだん眠たくなるかもしれません。。。めでたし、めでたし。

っが、作曲に興味のある人はこの音楽は驚愕の連続です。一つ一つの変奏が本当に凝っていて、凄いの一言に尽きます。もし可能であれば是非楽譜を見てください。主題があらゆる形(テーマが逆行したりもしている!)に応用されて表れます。音楽に興味のある方は逆に眠れなくなるかも。

モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス

この曲はモーツァルト晩年の傑作といわれ、小規模ならが心が洗われるような神秘的な響きがします。実際この曲は宗教合唱曲で、主キリストを讃えたフレーズが歌われます。

個人的な意見ですが、この曲は所謂モーツァルト臭さがかなり抜けた曲に感じられます。小さいときにピアノレッスンを受けた人はモーツァルトやベートーベンを聞くのに抵抗がある人が意外と多いのですが、そんな人にも大丈夫です。

曲調はゆっくりとして明るいです。心がイライラしたときに是非聞いてください。きっとリラックスできます。女性アカペラグループ、アンサンブル=プラネタの演奏でどうぞ。

アレグレ:ミゼレーレ
フォーレ:ラシーヌ賛歌

どちらも合唱曲。ミゼレーレは男声アカペラ合唱の傑作で、かのモーツァルトが門外不出のこの曲を記譜したという伝説が残っています。この曲はルネサンス末期~バロック初期というかなり早い年代に作曲されているので、今まで接する機会の多いようなクラシック音楽とは調性がやや違うように感じられるかもしれません。人によってはグレゴリオ聖歌のような印象を持たれると思います。

フォーレは時代的にはロマン派後期に属するフランスの作曲家で、代表作のレクイエムが有名です。弟子として印象派の大家、ラベル(ボレロで有名)がいます。フォーレの曲の特徴として絶妙な和音使い、調性の展開が挙げられ、印象派の先取りとも思えるような曲も書いています。この曲はフォーレの最初期の作品で、明るくとても明快な曲ですが、フォーレの特徴がうっすら表れています。ヒーリング曲の特集として注目されたCDでどうぞ。

フォーレの小品としては、パバーヌもお勧めです。こちらはCMのBGMとして使われたことがあります。

 

ペルト:鏡の中の鏡

この曲だけ年代的には現代音楽に入るのですが、とても聞きやすいので安心して下さい。歴史的なことを少し説明します。現代音楽は戦中戦後にトータルセリー、12音音楽のようなシスマティックな曲を作ることが流行しました。しかし、それが行き過ぎ、結果的に普通の聴衆から理解しがたい曲が大量生産されることになります。

そこで、現代音楽への揺り戻し運動、すなわち聴衆にダイレクトに訴えかけるような音楽を作ることが少しずつ注目されていきました。ペルトもその一人です。

「鏡の中の鏡」は非常にスローテンポでピアノと旋律楽器(ここではバイオリンなど)による演奏が行われます。ピアノは単純な分散和音を奏でて、その上で旋律音楽がゆったりとしたメロディーを演奏するのですが、そのシンプルさ故、心に直接届くく美しさがあります。眠れないときに是非お聞き下さい。

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どうでしょうか?合唱曲やハープ、パイプオルガン関連のクラシック音楽はヒーリング効果が高いと思われるので、是非自分に合った音楽を探してみてください。

また、こんなクラシック/現代音楽を特集して欲しい!という意見のある方はコメント欄かはてブで是非ご連絡をお願いします。

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2009.06.09

初夏の夜長に現代音楽ってどうよ?~Vol.3「インパクトのある曲」編

現代音楽のお勧めCD紹介コーナーも今回(3回目)で最終回です。
1、2回目は以下のとおりです。

秋の夜長に現代音楽ってどうよ?~Vol.1「聞きやすい曲」編
冬の夜長に現代音楽ってどうよ?~Vol.2「カッコいい曲」編

今回は現代音楽の中でもインパクトが強く、また音楽史に影響を与えた曲を紹介したいと考えています。

シュトックハウゼン「コンタクテ」

シュトックハウゼンといえば、トータルセリーや電子音楽を確立したことで有名です。特にノイズが好きな人には「神」扱いされているようです。

本当はシュトックハウゼンのCDとして、電子音のみで作曲した「習作Ⅰ」「習作Ⅱ」、少年の声と電子音を組み合わせた「少年の歌」を紹介したかったのですが、残念ながらAmazonで取り扱っていないようです。(タワーレコードとかにはありますが、この手の音源はシュトックハウゼンの個人レーベル(!)でしか売ってなく、小売店経由だと結構高いです。しかし音楽史や現代音楽に興味のある方なら絶対買うべき1枚です。)

そこで、今回取り上げるのは既に録音した電子音にピアノと打楽器が「ライブ」で演奏するという、現代音楽界に大きな影響を与えた「コンタクテ」という曲を紹介します。

当時の電子音は今のシンセサイザーとは違い、サイン波や矩形波のようなものを扱っていました。ほとんどBEEP音です。これを緻密な計算のもと(セリーの影響を強く受けている)、周波数や音の強弱等を決定して、音楽として形成したのです。テクノなどの曲に慣れ親しんでいる私たちの世代は強烈な印象を受けると思います。

コンタクテによって、このような電子音と伝統的なピアノや打楽器を「リアルタイム」で合奏することに成功し、この結果電子音楽は大きく発展を遂げることになります。

そして、シュトックハウゼンといえば、ある意味伝説的に有名な一枚も忘れられません。

シュトックハウゼン「ヘリコプターカルテット」

この曲は弦楽四重奏のメンバが4つのヘリコプターに分乗し、ヘリコプターに「乗りながら」曲を演奏するという、とても奇抜でユニークな作品です。実際の演奏では地上でミキシングされます。シュトックハウゼンの大作オペラ「リヒト(光)」の一曲です。

一見「トンデモ」に思えますが、ヘリコプターの上昇音とストリングのグリッサンドがうまく掛け合って、意外とフツーに聞こえます。機会があったら是非聞いてみて下さい。

シュトックハウゼンの初期作品は非常に高い評価がされていますが、中後期作品はこれから客観的な評価がされることでしょう。シュトックハウゼンは来日コンサートで一度見たことがあるのですが、とてもパワフルな印象を受けました。

クセナキス「ST/4」

クセナキスといえば、数学を駆使して作曲をしたことで知られています。ST/4は弦楽四重奏のための曲ですが、グリッサンドを非常に多用し聴衆に強烈な印象を与えます。各プレイヤー間でグリッサンドの見事な掛け合いをするので、現代音楽にあまり慣れ親しんでない人も楽しめると思います。STシリーズにはオーケストラの作品ST/48もあります。

クセナキスの作品の特徴として、規則的な運動や、その反対のカオス状態がうまく混在していることが挙げられます。この作品もその特徴がうまく出ているのでクセナキス入門にはぴったりです。

ちなみに、この曲は超絶技巧曲としても知られています。一度コンサートで聞いたことがあるのですが、迫力満点で見ているほうも興奮します。

メシアン:音価と強弱のモード

シェーンベルクが考案した12音音楽は、それまでの古典的な作曲技法とは異なり、大きな衝撃を与えました。(*フーガのテクニックを活用している)12音音楽は戦後になると、トータルセリーといわれる技法に発展します。12音音楽は1オクターブ12音をある順番で並べ(これをセリーと呼ぶ)、これをフーガの技法を活用しながら発展させるのですが、トータルセリーは音高だけでなく、音の強弱、音の長さ、音のアタックなども規則性を持たせることを目指しました。このメシアンの作品は、トータルセリーの意義を問う作品として作られ、当時の現代音楽界に大きな影響を与えました。

この曲はトータルセリーの特徴、すなわち音の強弱や音の長さがマチマチな曲なので、とても不安定な曲調に聞こえるのが特徴です。古典的なクラシックでは、まず受けたことがない印象を受けるでしょう。超絶技巧曲としても知られています。

ライヒ:「Come Out」「ピアノフェーズ」

大学の音楽の時間に「Come Out」を聞いた衝撃を、今でも忘れられません。ライヒはミニマル音楽の代表的な作曲家です。ミニマル音楽とは短いテーマを繰り返し、そして少しずつ発展しながら曲を構成するのが特徴です。今回取り上げたCDはライヒの初期作品を集めたものです。

「Come Out」は、「Come Out」と発声したテープを使い、それを様々な形に変容・発展させていく音楽となっていて、一種の変奏曲のような感じを受けるでしょう。Come Outという発音が一曲の中に何百回も繰り返されるので、宗教的な儀式を連想する人もいるかもしれません。

「ピアノフェーズ」は2台のピアノのための曲で、あるフレーズを2台のピアノが少しずつ(時間的な意味で)ずらしながら弾いていきます。フェーズは理工系用語の波の「位相」であり、フレーズの「ずれ」を聴衆に感じさせることにこの曲の意義があります。このずれというものが古典的な音楽の「X音符」という単位ではなく、ごくわずかな時間の「ずれ」が少しずつ拡大することから、とてもインパクトのある作品となっています。

このCDはミニマル音楽の原点といえるもので、ミニマル音楽の一般的なイメージである「カジュアルな感じ」とは一線を画すものですが歴史的な作品ですので、現代音楽に興味のある人は聞くことを強くお勧めします。

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如何だったでしょうか?インパクトのある作品というと、他にはナンカロウのピアノエチュード、シェルシの「山羊座の歌」などが挙げられます。是非CDを聞いてみて現代音楽と現代音楽作曲技法に興味を持ってくださいね!

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2008.11.03

秋の夜長に現代音楽ってどうよ?~Vol.1「聞きやすい曲」編

Blogを始める前から「Tomo's Homepage」というWebページを運営している。私の知人の多くはこのWebページをP2Pの解説ページだと思っているが、実は現代音楽入門のコーナーとして立ち上げたのが始まりだ。元祖Webページは大学院院試が終わった直後に作り始めたので、もう10年以上前のことになる。

P2Pもそうなんだけども、現代音楽(というより現代芸術全般かな?)って普通の人にとって物凄い偏見があると思う。でも実際に聞かせると意外に聞ける!とかクラシックより面白いよね、という人が多い。現代音楽に触れる機会は残念ながら少ないので、多くの人が偏見を持っているのが実情なんだろうなあ、と考えている。

話は変わるけども、テクノとかノイズとか好きな人は現代音楽に傾倒する人が多かったりする。というのは、これらのルーツを作った人が最近亡くなったシュトックハウゼンなどの現代音楽家の大家らしい。もっとも私はテクノとかノイズはあまり聞かないので、現代音楽とテクノ、ノイズの関係については詳しくは解説できないけども。(*ちなみにPerfumeは好きだよ!)

 

ということで、ネタ的にも教養のためにも「買って損はないよ!」という現代音楽を少しずつ紹介したい。本シリーズは以下のように3回に分けて現代音楽を解説する予定だ。

Vol.1 「聞きやすい曲」
Vol.2 「カッコいい曲」
Vol.3 「インパクトありすぎ!の曲」

タイトルどおりに秋の間に解説を終えることができるかビミョーであるが、張り切って解説してみたい。あと、曲を聴く前に「20世紀音楽の世界」で現代音楽の歴史を一通り見ておくと理解しやすいと思う。なお今回紹介する現代音楽とは、大まかには「第二次大戦戦中戦後に作られた曲」を指すこととしたい。

この曲もお勧め!というコメントの方は、はてブコメントでどうぞ。

本編はVol.1 「聞きやすい曲」だ。現代音楽アレルギーの人でも聞ける曲をピックアップしてみた。まずはこれで、現代音楽って結構聴けるね~というのを感じて欲しい。

□カプースチン:「8つの演奏家用エチュード」

→カッコいい!そしてスゴいテクニックの連続

21世紀に入ってから注目されてきたロシアの作曲家。ジャズとクラシックの技法を融合したことで知られ、楽譜を見ると超絶技巧のオンパレードである。カプースチンの楽譜は日本の出版社から何点か出版されている。

彼の曲はジャズのカッコよさと超絶技巧によるシビレにつきると思う。ジャズが好きな人なら買って問題はないだろう。彼の作品集、特に前奏曲集などは、似たり寄ったりした曲が多くなり、一本調子になる場合がある。しかし、「8つの演奏家用エチュード」は個性的で且つ劇的な作品が組み合わさることにより、聞いている人を驚きと興奮の連続に導くだろう。

□ライヒ:ナゴヤマリンバ

→ポップで、時間変化が楽しい音楽

短いフレーズを繰り返し、ゆっくり変化させることによって聴衆に独特な雰囲気を感じ取る、ミニマル音楽。ライヒはミニマル音楽の大家であり、今年は来日公演を行い注目された。フレーズはポップな感じでクラシックや現代音楽を聴いているとは思えないぐらい。TVニュースのBGMなどにも使われている。

彼のフレーズの繰り返しテクニックは、理系の人にとっては刺激的だろう。いつの間にかにフレーズが変容している様は、まるでエッシャーの「だまし絵」を見ているかのようんだ。そして先ほど書いたようにポップなフレーズなので聞いていて「こってり」した感じがしない。ライヒの曲は「じっくり聴く」のと「流し聞き」では大分印象が違うと思う。

ナゴヤマリンバは、日本の団体による委嘱作品。彼の本格的な作品を聞く前の入門編としては丁度良い曲だろう。なお、今回紹介したCDはライヒ・ベストという、ライヒ音楽の入門CDである。ライヒは最初期は「Come out」「It's gonna rain」(いずれもテープ音楽)やピアノ・フェーズ(ピアノ曲)といったかなり挑戦的な曲を書いている。ライヒに慣れたら是非チャレンジして欲しい。

□ピアソラ:「鮫」「ル・グラン・タンゴ」

→大人の雰囲気。BARのBGMで流れている感じ。


ピアソラというと、タンゴ音楽の巨匠。タンゴ音楽にクラシックの技法を取り入れて「前衛タンゴ」という音楽分野を作った。彼の曲を聴いてみるとわかるのだが、節々に「対位法」と呼ばれる音楽の技法(フーガにようにフレーズが駆け合いすること)が使われ、それが単なるタンゴ音楽から脱皮した様子がわかる。

ピアソラの音楽はバイオリニスト「クレーメル」やチェリスト「ヨーヨーマー」の紹介によって世に広く知れ渡るようになった。特に「リベルタンゴ」はCMでも流れたのでおなじみの曲である。

ここでは「リベルタンゴ」の他に是非聴いて欲しい小曲品集を紹介CDとして挙げた。クレーメルの名演奏を楽しんで欲しい。

□吉松 隆:プレイアデス舞曲

→繊細に、そして叙情的に

日本を代表する現代音楽家として幅広い活動をしている吉松氏。彼の90年代以降の音楽の特徴として、わかりやすい音楽を積極的に作曲していることが挙げられる。といっても単にわかりやすい音楽を作曲しているわけではない。

楽譜を実際に見ると、変拍子を積極的に使ったり、あるいはギリシャ旋律法を用いるなど随所に現代音楽技法が使われている。一瞬聴くと印象派音楽をモダンにした、といった感じかもしれない。

プレイアデス舞曲はピアノ組曲であり、繊細で叙情的な音楽の世界である。聴けばあわただし日常を忘れて心を潤してくれるだろう。またピアノが弾ける人は楽譜を買って是非演奏にチャレンジして欲しい。(*ちなみに聴いた感じ以上に演奏は難しいです。)

彼は小品だけでなく、交響曲や協奏曲など大規模な作品を残している。プレイアデス組曲を気に入ったら、カッコいい感じの「サイバーバード協奏曲」(サクソフォン協奏曲)か叙情的な「メモフローラ」(ピアノ協奏曲)をどうぞ。

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とりあえずこんな感じかな。ペルトとかグレツキ、ナイマンを挙げても良かったけど、体力が尽きたので今日はこの辺で。また次回をお楽しみに。

(続く、多分。)

 

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2006.07.22

[音楽]夏を快適に過ごすためのお勧めCDアルバム

今年も暑い夏になりそうです。クーラーで涼むのもいいのですが、涼しげな音楽で快適に過ごすのも良いものです。
ここでは「涼しげな音楽」満載のCD(クラシック系)を5枚紹介しましょう。
涼しいと感じるだけでなく、きっと頭もすっきりするはずですよ。

□アンサンブル・プラネタ「Maiden's Lament」(乙女の嘆き)
女性アカペラグループ、アンサンブル・プラネタの2ndアルバム。女性の伸びやかな声、そしてやさしいフレーズが聞く人を癒してくれます。原曲はクラシックながらもアレンジャー書上奈朋子氏の手により、まったく別世界の歌曲に生まれ変わりました。アンサンブル・プラネタの最高傑作と評判が高い感動的なアルバムです。

□吉松隆「プレイアデス舞曲」
ピアノの音は時として優雅で人の心を落ちつかせてくれるものです。この「プレイアデス舞曲」はそのようなピアノの一面を「曲」として表した代表例です。現代的な曲調ながら、なぜか懐かしい。繊細なフレーズが聞こえながらも重くない、まさしく夏の夜に聞くにはぴったりな曲でしょう。

□ライヒ「18人の音楽家のための音楽」
音楽が繰り替えしながら微妙に変化する、ミニマルミュージックの巨匠、ライヒ。ポップな曲調ながら心地よいビートが続くこの音楽はストレスで溜まった頭を心地よい眠りに導いてくれるでしょう。眠れない夜や頭が疲れたときに聞くと効果的です。

□ペルト「アリーナ」
ピアノはこんなにもきれいな音を出すんだ、と再認識してくれるアルバム。ゆっくりとしてテンポから奏でられるハープのようなピアノの調べは人の心を穏やかにするでしょう。モダンミュージックの大ヒットアルバムを是非お聞き下さい。

□バッハ「ゴルドベルク協奏曲」
クラシック音楽の最高峰バッハの中でも、人に癒しを与える代表作といえばこの曲になるでしょう。もともと安眠のために作られた曲だけに、ヒーリング効果は抜群です。バッハ演奏家の最高峰、グールドの演奏で是非。

お聞きになった方は是非感想を寄せて下さいね。

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2006.03.06

[音楽]購入したCDラックが、かなり良い

引っ越しのときに1000枚ぐらいあるCDを段ボールにしまっていたのだが、さすがにそろそろ片付けるためにCD購入をしようと考えた。

一般に通販のほうがCDラックが安いということで、いろいろなカタログを見たのだが、なかなか気に入ったものがない。

私のCDラックに対する条件は

□CDがたくさん収納できること
□ラックが省スペースであること
□スタイリッシュであること
□安価であること

であった。

いろいろと探して見つけたのがAmazonで見つけたCDラック。

商品名からわかるように464枚CDが収納できる。ラックの位置を変えるとDVDも収納可能だ。
このラック、買ってからわかったのだが、使い勝手がとてもよい。

メリットとして
□CDのラベル面がやや上方になるように、取り出し口が傾いている。そのため立っていても座っていてもCDが見つけ易い。
□上記設計のために、CDがラックから取り易い。もちろんラックへCDを片付けるのも楽だ。
□棚板毎(というか棚棒?)に各一つずつCDストッパーがついている。CDの収納や分類にとても便利だ。
□464毎CDラックの場合、なんと2つのラックに分かれることができる。2つのラックを縦に並べて高さを出してもよいし、2つを横に並べて背の低いラックとして見せることも可能だ。もう一つラックを買えば3つ縦に並べることも可能だろう。その場合天井が高い部屋の場合には有効でしょう。

デメリットとして
□説明書がやや読みにくい。何回か組み立て方法を間違えた。
というのがあるが、これは何とかなるだろう。

464枚もCDがない!という方姉妹版のCDラック Aladdin232 メタリックグレイもあります。こちらは先ほどのハーフサイズで232枚CDを収納できる。これを2つくっつければ、前者と同じ収納力になります。

これからも、気に入った製品や本を(不定期ですが)紹介しますね。

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2005.08.08

[ヴァイオリン]ヴァイオリン発表会終了。

8/7(日)は私が習っているヴァイオリン先生の生徒全員の発表会でした。ソロ(Pf+Vn)はもちろん、弦楽アンサンブルからピアノトリオまであるので、延べ8時間ものマラソン演奏会です。

昨年はバッハのヴァイオリン協奏曲1番から第1楽章を弾きました。この曲はノビノビと弓を使って音を均一に出しなさいと言われ練習を重ねましたが、実際ステージに立つと緊張して弓がうまく使えず、あまり良い音が出せなかったのが反省点でした。

今年はソロで発表会に出るのは2回目なので、何とか緊張を抑えて練習の成果を出すことが課題でした。

私の発表会の曲はタルティーニのソナタ「Didone Abbandonata」g-mollです。
タルティーニは「悪魔のトリル」で有名なバロック時代の作曲家でヴァイオリストでもあったそうです。このソナタはタルティーニの曲でも有名な部類に入り色々なヴァイオリストのCDも出ています。

前回のバッハのコンチェルトと比べてこの曲が難しかったのは重音が連続して出てくることです。単発で重音が出ることは今まで習った曲でもしばしばあったのですが、2重音、3重音、4重音とここまで盛りだくさん且つ連続で出てくる曲は初めてなのでかなり苦労しました。またg-mollなので苦手なハーフポジションが多く出てくるのも弾きにくかった理由の一つです。

ただ重音を中心に練習したので、手首~指のフォームが大分矯正されたのと、あとはハーフポジションを含めポジション移動時の音程のピッチが以前より正確になったのは大きな成果だと思いました。

レッスンの後半では音程をより正確に取る事を中心に指導されました。

ヴァイオリンは4つ弦が張ってあって、弦に指が触らない場合、下からソ(G線)、レ(D線)、ラ(A線)、ミ(E線)という音が出ます。例えばG線以外でソの音を「正確なピッチ」で出すと、G線が共鳴して、非常に豊な音色になります。(この音の豊かさはピッチがずれるにつれ、急速に衰えます)
音階練習をするときに、この共鳴する音色に注意しながら練習することを繰り返しました。開放弦に関する音は大分音程が良くなってきたのですが、#や♭系の音はイマイチ共鳴するポイントが見つけにくかったりするので引き続き練習したいと思いました。

また今回の演奏会に備えて弦を全てオリーブに変えました。オリーブはガット弦なのですぐピッチが変わってしまうのですが、響くような音色で且つ弦を押さえる感触がソフトで弾きやすかったので引き続き使いたいと思いました。ただ、オリーブの場合、4つの弦を全部を揃えると1万円ぐらいするのが欠点ですが。)

さて肝心な発表会ですが、やはりステージに立つ時に緊張してしまいました。ただ、少し時間を置いて深呼吸をしたり、演奏とは全然違う事を考えることで、かなり心拍数を抑えることができました。

昨年の弓が多く動かなかったという反省点を活かして、今回は無理やりでも全弓(弓の元か弓の先まで使う事)を意識して演奏しました。その結果、弓が安定して動けたことは自分にとって大きな成果だと思いました。

途中、なんでもないところで指のポジションを忘れて慌てたりしましたが、とりあえずは無事終了してホッとしました。

演奏会でパッヘンベルのカノンを彼女と一緒に演奏したことは、独身最後の夏の良い思い出になったと思いました。彼女も一生懸命練習して、早いパッセージにもついて行けたので安心しました。いつかはバイオリン2重奏を弾いてみたいものです。

来年はバッハの2番やローデかヴィオッティのコンチェルトでも弾いてみたいですが、まずは音程練習をみっちりやりたいと思います。あとは弦楽アンサンブルでヴィヴァルディの「四季」から「冬」をソロで弾くことになったので、今からレッスンが楽しみです。

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2005.07.27

[クラシック]7/27東京オペラシティで楽器が弾けるイベント

直前のお知らせで大変申し訳ないのですが、7/27(水)[つまり更新日の今日]に東京オペラシティ(新宿初台駅すぐ)のコンサートホールで楽器を弾く事ができるイベントがあります。

アーツシャワー 楽器の不思議!?オーケストラの楽器(live辞典)

以下引用
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第1回 11:00 弦楽器が奏でる~弦と弓の魅力~
【曲 目】 モールァルト:アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク より
アンダーソン:プリンク・プルンク・プランク ほか
ヴァイオリン:青木高志 ほか
弦楽五重奏(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)

第2回 13:00 木管楽器が奏でる~木の魅力~
【曲 目】 ハイドン:ディヴェルティメントより第一楽章 ほか
木管五重奏(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)

第3回 15:00 金管楽器+打楽器が奏でる~ブラス(金属)の魅力~
【曲 目】 エヴァルド:金管五重奏曲第1番より第一楽章
ガーシュウィン:ポーギーとベス より ほか
金管五重奏(トランペット×2、ホルン、トロンボーン、チューバ)&サックス+打楽器
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これだけだと子供向けのミニ演奏会なのですが、コンサートの休み時間にロビーで楽器を実際に弾く(吹く)ことができます!ということで初台周辺の方は休み時間に是非ホールのロビーにお越しになると良いでしょう。
私もお昼休み行く予定ですので、お会いした際にはよろしくお願いします。
(お昼休みは多分弦楽器か木管楽器が弾けると思います。)
ちなみにイベント参加料金は無料です!

※実は昨年は休日に開催されて、私も行ってきました。
高校時代に吹奏楽部でホルンをやっていたので久しぶりに吹いてみたのですが、全然高音が出なくて非常にがっくりした思い出があります。(笑)
今年はチェロかファゴットを弾いてみたいなぁ。

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2005.06.25

[現代音楽]シュトックハウゼンレクチャーの概要について

昨日(6/23[木])、現代音楽の巨匠のシュトックハウゼンによるレクチャーに参加してきました。
ここで概要及び感想を書きます。

日時:6/23[木] 19:00~21:00
場所:天王洲アイル アートスフィア

電子音楽や偶然性の音楽等のパイオニアであり、現代音楽界ならず、ロック、テクノ界に強い影響を与えてるシュトックハウゼンの28年ぶりの訪日ということで、来日前から強い注目を浴びていた。今回は第21回「東京の夏」音楽祭2005の開幕を飾るにふさわしいイベントであった。
なお、6/24[金]~6/25[土]まで昨年ドイツで初演されたリヒト=ビルダー及び氏の電子音楽等が演奏される事でも多方面から関心を持たれていた。

ロビーでは氏の電子音楽や今回演奏されるリヒト=ビルターのCDが売られていた。

さて、今回のイベントだが、前半はリヒト=ビルダーに関する氏自らによるレクチャー、及び後半は参加者からの質問という構成であった。

まずリヒト(LICHT:光)だが、これは一週間演奏にかかると言われる超巨大な一種のオペラである。このリヒトは曜日による区切りがされていて、今回レクチャーの対象となった「リヒト=ビルダー」(LICHT-BILDER)[光=イメージ]は「光の日曜日」の第三場にあたる。

なお、ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、近年話題になった「ヘリコプターカルテット」もこのリヒトの中の楽章の一つとなっている。

ではレクチャーに関する概要について書いておきます。
今回のレクチャーですが、リヒト=ビルダーの構造である冒頭部、月曜日~日曜日という8つの章に応じて、その章の区切り毎に簡単な解説を氏自ら行うと言うものでした。

楽器編成はバセットホルン、フルート、テノール、トランペット、シンセサイザー、サウンドプロジェクターからなり、
サウンドプロジェクターは氏自ら操作していました。(サウンドプロジェクターは観客席中央にありました。)
なお、バセットホルン、フルートにはマイクがついてあり、リングモジュレーターによって周波数が加工されます。氏はリングモジュレーターを使った作品を過去に何度も発表していて、「マントラ」などの作品が代表例として挙げられます。

今回のリヒト=ビルダーの特徴ですが、バセットホルン、フルート、テノール、トランペットの奏者がステージに立ち、音形に合わせて動作をする事が挙げらます。例えば、クレシェンドの時には右へ動く、メロディが上昇する時には楽器を上方向に動かすなどです。動作は直線的な単純な動きではなく、非常に複雑に「指定」されています。

なお、ステージ上の4人の奏者は全て暗譜で演奏します。指揮者はいません。
初演時のリハーサルでは1日7時間45日間に渡ったそうです。

演奏ですが、各奏者に特殊技法等高度な演奏テクニックが求められます。また動きながら演奏するので、見ている方でも大変さがわかります。トランペットは5種類程度のミュートを使い分けていました。演奏時間は約40分。奏者の服装はエスニックな感じのものでした。

リヒト=ビルダーではテノールが入る事で、言葉と言う概念が非常に大切な役割を示します。歌詞はほとんどが単語で、各曜日毎にテーマがあり、それに関する単語を羅列するような感じです。
(例えば金曜日は天体がテーマになっていて、「こぐま座」や「いて座」などが出てきます。)
また、神を称えるようなフレーズが何度も出てきます。

後半では氏への質問コーナーとなっていました。
今回印象に残った質問を書いておきます。(メモをしてないので、かなりの抜粋ですし、部分的にあやしいですが。。。)

Q:今回のリヒト=ビルダーにおいて氏のフォーミラ技法が使われているか?
A:使われていません。

Q:リヒト=ビルダーにおいて、管楽器及び声によって構成されていますが、弦楽器あるいは東洋の楽器等の採用は検討しなかったのですか?
A:バセットホルン及びトランペットはリングモジュレーターによって変調されます。これにより有機的で豊かな音色が発生します。そのため、この構成で充分と考えました。

Q:音楽と空間についての関係を教えて下さい。
A:自分の曲の大半が空間音楽なので、空間の概念は非常に重要です。(この後グルッペンなどについて解説)
自分の曲が望ましい形で演奏できる空間がほとんどないのが残念です。
例えば、普通のホールは一つの点から音が発生することを考慮して設計しています。しかしながら自分の曲は観客の周りに音源があったり、いわゆる通常のホールとは意図する音の状況が異なります。
(なお、回答の際には雅楽との関連、日本で初演した作品などについても説明していた。)

Q:言葉と音楽についての関係を教えて下さい。
A:自分の多くの曲で神への感謝を表わしています。例えば「少年の歌」は古い書物「ダニエルの書」を用いて、神への感謝を表わしています。また、今回リヒト=ビルダーにおいて(月曜日だと)石ー丘ー水などについてテノールが語りますが、これも全人類全てにおける神への感謝への象徴として「石」「樹木」などの言葉を発するようにさせています。

感想ですが、まず巨匠自体を目の前で見えたことが大変嬉しかったです。質問コーナーによって氏の音楽に対する考え方が少しながら理解できたのは自分にとって大きな収穫でした。
ただ、音楽自体はあまり革新的には聞こえず、感激したとは自分は思えませんでした。事前にリヒト=ビルダーについてCDを聞き込んでいたら、また違って聞こえたかもしれません。

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