ピアノとパイプオルガンの弾き方の違いについて
学生時代にピアノを10年近くレッスン受けていて、数年前からパイプオルガンのレッスンを受けています。
ピアノとパイプオルガンだと、ペダルがあるかどうかの違いのように思えますが、実は弾き方がかなり違います。
これからパイプオルガンを習ってみたい人や、ピアノとパイプオルガンの違いを知りたい方は是非ご覧ください。
(1)音の強弱の表現方法が異なる
ピアノは打鍵の強さで音の大きさが決まります。一方、パイプオルガンは強く押さえても、弱く押さえても同じ強さの音になります。
では、どのようにしてパイプオルガンで音の強さを表現するというと、強い音は長めに音を弾いて、隣との音の隙間の長さを短くします。
このようにして、あたかも強い音が出ている印象を作ります。
(2)運指が異なる
ピアノでは指を跨ぐような動作をよくします。一方、バロックやそれ以前のパイプオルガンでは、あまり指を跨ぐ動作をしません。
スケールを右手も左手でも2、3の指を交互で動かすことが多いです。(流派によって、指の使い方が異なります。)
(3)音の持続が異なる
ピアノと違って、パイプオルガンは押しているだけ音が出ます。パイプオルガンの曲はそのため、何かの音が持続しつつ、他の音を弾くというケースが非常に多いです。ピアノからパイプオルガンを習う初心者は、私も含めて、音を伸ばすところで途中で指を離してしまうので、結構苦労します。
(4)音の隙間の考え方が異なる
バロックやそれ以前のパイプオルガンでは、先ほどの運指のこともあり、音と音に適度な隙間が空きます。ピアノのようなレガートな奏法は、古い曲ではあまり見られません。逆にピアノからパイプオルガンを習う初心者は、音と音の隙間をあまり空けずに弾いてしまい、のっぺりとした音になりがちです。
(5)パイプオルガンは鍵盤を右手と左手で変えることがある
パイプオルガンは数段の鍵盤がありますが、メインの旋律を弾く鍵盤と伴奏用の鍵盤に大きく分けられます。(鍵盤によって音色[ストップと言います]が異なります。)右手と左手の音色を一緒にしたい場合は、あえて同じ鍵盤で弾くことがあります。また曲の途中で音色を変えるため、鍵盤を変えることもあります。
右手と左手で同じ音域を弾く曲もあり、この場合、弾きにくいので右手と左手を違う鍵盤で弾くこともあります。
なお、私が習っているのはバロックやそれ以前の曲を中心ですので、近現代のパイプオルガンの曲だと必ずしも上記とは異なる場合があることも注意してください。
パイプオルガンの奏法や構造に興味がある方は、「オルガンの芸術」という本が詳しく解説していて、お勧めです。