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2020年5月の2件の投稿

2020.05.03

フィボナッチ数列と2つの母関数

数列anがあったとき、通常の母関数とは

f(x) =Σanxn=a0+a1x+a2x2+…

と表記する。この母関数を使えば、フィボナッチ数列やカタラン数を機械的に計算することができる。

フィボナッチ数列は一般的にan=an-1+an-2で表現され、その母関数の計算は「フィボナッチ数列の母関数」(pdf)にわかりやすく解説されている。

結論として、フィボナッチ数列の母関数は

f(x) = 1/(1-x-x2)

になるため、これをテーラー展開をすることによって、各係数がでて、数列が計算できる。

ところで、フィボナッチ数列は、一般にビネの公式というものがある。(詳細は上記資料を参照)これだとフィボナッチ数列は2つの数字の冪数として表現できる。先ほどの母関数からも複雑な計算をすればビネの公式を見いだせる。ここで、もう一つの母関数を導入すると、ビネの公式が比較的な容易な計算で求められるので紹介しよう。

 

指数的母関数を

 F(x)=Σbnxn/n! =b0+b1x/1!+b2x2/2!+…

と表記する。bn=1ならF(x)=exである。

ここで、フィボナッチ数列の性質から、各式の係数を見比べてF(x)''=F(x)+F'(x) 

これは2階微分方程式なので、一般解はAeαx+Beβxとなる。

よって、α,βはx2=x+1を満たす数となる。A,Bはb0=b1=1からもとまる。これより、bnがビネの公式と一致することがわかる。

 

なお、この指数的母関数の説明は、「はじめての数論」(丸善)を参考にしています。

 

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2020.05.02

世界で初めて電子音楽を作曲した「シュトックハウゼン」

現代音楽に多くの足跡を残した作曲家「シュトックハウゼン」

来日コンサートで演奏されたときの姿を一度だけ拝見したことがありますが、際立つ存在感だったのを記憶しています。

3つのオーケストラのための曲「グルッペン」、世界中の国歌を取り入れた「ヒュムネン」などインパクトの強い曲が多いですが、世界初の電子音楽を作曲したのも彼です。一番最初の電子音楽は「習作1」<1953>ですが、その後作られた「習作2」<1954>は楽譜が出版されています。

実際楽譜と曲が連動したYoutubeを見ると、どのような曲でどんな楽譜になっているのか理解しやすいです。

習作2(Youtube)

上の四角形が周波数(正弦波の混合)と音の持続時間、下が各々の音の大きさの変化を表します。

当時はテープを使って切ったり張り合わせしたりして音を作り出していたそうです。

CDを買うと、詳細な解説がありますが、これは日本語に訳されて公開されています。詳細を知りたい方は、

シュトックハウゼン音楽情報 シュトックハウゼン全集・ライナーノート:CD3 習作II <1954>

をご覧ください。

 

シュトックハウゼンの電子音楽を使った音楽は、少年の声と電子音楽を融合した作品「少年の歌」(具体音楽と電子音楽の初めての融合作品)、生の楽器の演奏と同時に電子音楽を鳴らす「コンタクテ」(人の演奏と電子音楽の初めての融合作品)が歴史的に評価が高いです。

 

シュトックハウゼンなど現代音楽の歴史を学びたいときには、「現代音楽小史」がお勧めです。

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