Winnyの開発者である金子勇氏が急逝しました。ご冥福をお祈りします。
私にとってはP2Pの各種勉強会、プロジェクトを起こすきっかけとなった人であり、また同世代でもあるだけに大変驚いています。
私がP2Pと関わったのは研究所時代でした。その後事業会社に移ったあとにWinnyが流行し世間を騒がす話題となっていました。当時の新聞等の記事ではP2P技術自体が完全否定されるような書きっぷりで、P2P技術の研究の経験がある私としては、大変心が痛むものでした。
そのような状況を何とかしたかった私は、業務ではなかったのですがプライベートでP2Pに関わる動向等を改めて調査し、P2P技術に関わる技術を正確に伝えるようにBlogやWEBにまとめることが日課になりました。
またP2P技術を研究をすること自体が問題視される風潮を何とか打開しようとしてP2P勉強会を開くことにしたのです。(このころの世間の状況は本当に悲惨で、勉強会を開くことで会社を辞めることになるかも、と思ったぐらいです。今となっては笑い話かも知れませんが。)
活動を続けていくうちに、P2P教科書やUNIX Magazineを執筆することになってから、本当に素晴らしい出会いがあって、現在の会社でP2Pに関わる技術に関わる仕事をするようになりました。その縁で金子氏とは数度お会いすることがあったのですが、Winnyの開発をやめてからもP2P技術に関わる情熱は伝わってくるものがありました。初めてお会いするときに、金子氏から私のことを「よく知っていますよ」と言われたことは、今でも非常に嬉しいことです。
もしWinnyがなければ、P2PだけでなくNATやVoIP関係の仕事に関わることはなかったことでしょう。そして何よりもWinnyがなければ、今でも大きく影響を受けている多くの技術者や研究者等と会うことはなかったでしょう。
Winnyに関わる評価は現時点でも確定しているわけではありません。技術面から言うと、当時の非構造的なP2Pアーキテクチャが主流な時代にスケーラビリティを担保するために高度な技術を使っていました。また裁判の結果について、私も含めたP2P技術者はいつも注目していて、無罪が確定したときには「これでP2P研究が堂々とできる」とほっとしたことを昨日のように覚えています。P2P技術面、法律の観点からも金子氏の活動は非常に重要でした。
今はP2Pから若干離れている身ですが、このような訃報を聞いて今一度私がP2Pに対して何かできることはないかと、ゆっくり考えています。
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