Websocket勉強会については再開に向けて調整中ですが、今日はWebsocketの標準化動向に関わるトピックについて書いてみます。
WebsocketのプロトコルはIETFという呼ばれるインターネット技術を標準化する団体で規定されています。
例えばTCPやUDP,IPv6といったインターネット関連のプロトコルはすべてここで標準化されています。
標準化される分野ごとにWGと呼ばれる部会があります。WebsocketはHybi WGで議論されています。
WGで議論されている標準化動向をウォッチする方法は大きく3つあります。
1)WGのステータスページを定期的にチェックする
2) WGのメーリングリストに参加する
3) IETFの会合で公開されているプレゼンテーションをチェックする
4) 定期的に開かれるIETFの会合に参加する
本来はIETFの会合に参加してキーパーソンと議論する、あるいはプレゼンテーションを見るのが一番なのですが、お金も時間もかかります。ここでは誰でも無料で簡単に標準化動向をチェックできる1)~3)についてご紹介します。
1)WGのステータスページを定期的にチェックする
標準化動向を稼動を少なくチェックする、あるいは標準化されつつある技術を網羅的に知りたいときに役に立ちます。
hybiのステータスページは英語で書かれていますがそんなに難しくないので是非チェックしてみてください。
http://tools.ietf.org/wg/hybi/
draft nameとはインターネットドラフトと呼ばれるRFC一歩手前の草稿の名前を指します。
revは版数でこの数が多いと議論がどの程度枯れてきているかの目安になります。
dateはインターネットドラフトの発行日です。Statusはインターネットドラフトの状態で、RFC化しているのか、インターネットドラフトとして議論中かがわかります。
ちょっと脱線しますが、RFCになるまでの道筋を紹介します。
RFCになるのには、個人ドラフト→WGドラフト→RFCといった流れになるのが標準的です。
まず、ある個人がインターネットドラフトを提出します。このインターネットドラフトは名前に個人名が含まれているのが特徴です。このインターネットドラフトは誰でも提出できます。
次にWGでRFC化するに値すると判断されたものはWGドラフトになります。このWGドラフトには個人名が含まれていません。最後にRFCになります。RFCになるには多くの人の賛同が必要のため、相当な調整と稼動が必要となります。
残念ながらRFCまでたどり着けないインターネットドラフトは山のようにあります。しかしながら、そのようなインターネットドラフトを読むことによって、理解が深まることがあります。余裕があるのであれば、個人ドラフトやすでにexpireしてしまったWGドラフトなどもチェックしてみてください。
2) WGのメーリングリストに参加する
これはまさしく標準化の状況を随時チェックしたい、標準化について議論したいという人が使う手段です。
IETFの各WGのMLは誰でも参加できるため、インターネットドラフトに対して誰でも質問や議論をすることが可能です。このような議論はインターネットドラフトの改訂時に反映されます。
ただし、膨大な量のメールが流れるため(当然英語となります)、よほど関心が強いWGがない限り、この手段は不要でしょう。
HybiのMLはhttps://www.ietf.org/mailman/listinfo/hybiから参加できます。
3) IETFの会合で公開されているプレゼンテーションをチェックする
インターネットドラフトを最初からいきなり読むのは厳しい場合もあります。そのときにはIETFでインターネットドラフト草案者がプレゼンをしている資料を読むという手があります。これはインターネットドラフトをすばやく読みたいときに使うテクニックの一つです。
前回のIETFのHybiのプレゼンテーション資料は、今今チェックしたところ見つからなかったのですが、例えばWGによっては
http://tools.ietf.org/wg/hybi/minutes?item=minutes-83-hybi.htmlのようなページにプレゼン
テーションがアップロードされる場合があります。
IETFに関わる標準化動向をウォッチする方法は基本的にどのWGでも同じですので、もし興味がある技術があれば趣味と実用を兼ねてトライすることをお勧めします。