音楽という名の情報学
4歳からピアノを始め、中高校のときには吹奏楽でユーフォニウムトとホルンを吹いていた。大学は音楽から離れていただけども、どうしても音楽がやりたくて入社前からバイオリンを始めて今に至る。。。それが私の音楽人生。
ただ、大学と大学院の時には正式にいうと音楽から離れていたのではなく、演奏から離れていたんだ、と今ブログを書きながら思う。大学時代にはバイトで働いたお金でせっせとクラシックと現代音楽のCD、そして音楽史の本ばっかり買っていた。大学4年には現代音楽のWEBページを解説して、それが自分の今のWEBページのベースとなっている。CDは今800枚ぐらいあると思う。そして子供がいつかレアなCDを壊さないか?とひやひやしながら過ごしている毎日である。
ところで、大学時代趣味で統計の授業を取ったことがある。もしかすると教職をとるために単位を取ろうとしたのかもしれない。レポートは「なんからのデータをパソコンで統計分析してレポートすること」。とても漠然として迷った覚えがある。
そのときに自分が出したレポートはクラシック音楽と現代音楽に関わるものだった。
通常音楽は1オクターブに12音存在する。クラシック音楽ではその音の発生頻度に偏りがあるはずだ、それを統計分析しようとした。もう少し言うと、音楽には調という概念がある。もしハ長調であれば、ドの音を軸にメロディーが構成される。だから一番発生頻度が高いのはドだろう、と推測していたのだ。結果は後ほど。
これからが本題。音楽というのは情報屋から見るとどのようなパラメーターが含まれているのだろか?多分このような研究はとっくのとうに行われていると思うけども、自分の勉強のために考察して整理してみよう。
☆1音としての基本パラメーター
音高-音の高さ(ド、レとか)
音強-音の強さ(フォルテとか)
音価-音の長さ(四分音符とか)
アタック-音の表情(スタッカート、テヌートとか)
音色-音の音色(ピアノ、バイオリンとか)
サブパラメーターとしてビブラート(ビブラートの周波数の幅、ビブラートの中心ピッチ)、ピッチ(平均律からのずれ)なども挙げられるだろう。
☆1音の時間経緯としての集合状態
1音としての基本パラメーターが時間系列毎にある状態。
ただし、パラメーターによっては次の用語がある。
メロディー、旋律(基本的に音高の時間的経歴)
リズム(基本的に音価の時間的経緯)
音色旋律(基本的にメロディーにおける音色の変化)
強弱記号の一要素(クレッシェンド、デクレッシェンド等、音強の時間的変移)
発想記号は上記に対する補足だろう。
☆1時点における集合音の集合状態
1音としての基本パラメーターが同時に複数音毎にある状態。
ただし、音の高さの組み合わせは特別で
和音(ドミソの三和音など)
といわれる。
☆集合音の時間的変化としての集合状態
1時点における集合音の集合状態が時間変移における特徴量。
パラメーターによっては以下のような定義がある。
テンポ(モデラート、アレグロ等)
テンポの時間的変移(リタルランド等)
対旋律(複数メロディーの時間的対比)
和音進行(和音の時間的変移)
ざっと挙げただけでもこれだけの情報量が必要である。つまり、
同時に鳴らす音の数(休符も含める)×時間
というパラメーターがクラシック音楽では必要である。そしてこの直積空間を音楽用語では表現できない部分もありそうなことがわかった。
このように整理すると、このような多数のパラメーターを研究する音楽情報学というのはすごいものだ。いつの日か人間を超える作曲能力を持つアルゴリズムはできるのだろうか?
ちなみにパソコンを使って作曲をするという試みは随分前から行われている。現代音楽で有名なクセナキスはアルゴリズムや統計学を使って作曲を試みた作品を作っている。弦楽四重奏作品で有名なST-4とかなかなか刺激的である。クセナキスの作品はとても面白いのでそのうち特集を組みたい。
最後にレポートの件。
レポートの対象にしたのはバッハの平均律第1巻の第1曲ハ長調。グノーのアベマリアのベースの曲としてとても有名。この曲における最頻度の音は残念ながらドの音ではなかった。これは私の予想と全然違っていた。どうしてこのようなことが起こったのかは長くなるので、また次の機会に書いてみよう。
ちなみに現代音楽で調を使わない12音音楽というのがあって、こちらも統計を取ってみた。(対象はシェーンベルクのピアノ組曲第一曲)こちらはどの音も均等な頻度で音が出現していた。
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