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2009.01.04

学術論文とプレゼン資料はWEBで即時公開すべきだ!

SBM研究会、P2P勉強会等を主催してきて感じたのは、学会発表というのものが対外発表の価値として少しずつ低下しているということである。対外発表としては、学会発表のほかにIT系の勉強会や特許出願、企業主催の講演会、展示会などが考えられる。ここで注目すべきなのはIT系勉強会の注目度が近年急激に上昇したことである。

ここではなぜ学会の価値が下がっているの、そして学術論文をWEB公開にすることにより、その価値を上昇できることを示したい。

参考:Tomo's Hotline 「学会系研究会」 v.s.「 プライベート勉強会」を超えて

まず、現状を整理するために学会の良いところを書いてみよう。

1.専門家が集まることで、良質な意見が集まる。
2-1.論文で発表することは学会による審査がパスしているので、それなりの価値があると判断できる。
2-2.研究会や全国大会は(キワモノもそれなりにあるのだが)学会会員の注目を集めるために相当レベルの発表が期待できる。

そして学会の欠点は以下の4点に集約できるだろう。
A. 新規性がなくても重要なもの(たとえばノウハウ)について発表しにくい。
B. 投稿してから出版として公開するまでの時間が長い。(特に論文)
C. 異業種間の交流が少ないために、仲間うちの意見に閉じてしまう傾向が強い。
D. WEBとして一般公開されるまでにBから更に数年かかる。場合によっては、一般公開されない。

Aについては学会のポジショニングの話もあるので、今回は議論としない。Bについても審査等の話があるのでこれも議論としない。今回はCとDの話について。

ここからはなぜ、学術論文をWEBで公開すべきであるか(つまりDの改善)、それによって学会の価値が上昇することを示したい。

まず、通常の人がある技術を調査する時には大抵が検索エンジンを使う。そして、その検索クエリとして重要なのは文章化してあるファイルである。というのは、その技術概要の記述をWEBページに書き直すのは非常に労力がいるためだ。大抵の研究的な技術的資料はpdfやpptのファイルとして存在する場合が多い。

ところで、日本の場合にはこのpdfやppt(パワーポイント、ここではpdf化したパワーポイントも指すこととする)がヒットする数が本当に少ない。海外の場合には論文のpdfやそのプレゼンのpptがよくヒットし、そのことから論文の存在を知ることが多いのだ。またpptはその論文をわかりやすく解説しているので、私の場合は

1.まずpptでざっくり意味を理解する。
2.次に論文のpdfでじっくり中身を見る。

ということを日常的に行っている。

ところで、日本技術サイトの場合はどうだろうか?まず論文がpdfで公開されていない。CiNiiでアップされていても読めるのは概要だけだったり、あるいはかなり昔のものだったりする。自分のサイトですら自分の論文のpdfを公開できない。(*学会によっては公開できるかもしれない。)更にはプレゼンのpptをアップしてるのは本当に少ない。

つまり、pdfやpptをWEBにアップしてないために、多くの人がその重要な仕事を知る機会を大きく損失しているのである。

私が何を言いたいのかというと、検索エンジンが知のハブとなっている今、WEBに論文、研究会、全国大会資料はすべてアップするべきであるということである。それも可能なら即時である。情報が急速に流通している今、時間が情報の価値を大きく決定付ける要因となっているからだ。その結果、論文の存在を多くの人が認識し、その結果論文が書いた人にも注目が集まる。結果的に学会のステータスも上昇する。

当然学会は学会誌販売によって生計を立てているところも多いと思うので、最低限著者のサイトでのみ著者に関する論文をアップすることを許可して欲しい。

WEBに資料をアップすることは、多くの異分野からの交流も図れる。学会には参加できない人から簡単にメールやTwitterで議論することができるからである。そのような異分野交流によって、著者の技術というのは更に磨きをかけることであろう。つまり、Cで指摘している、学会内の特定コミュニティによる蛸壺化を解消できる。更には学会外の人がその学会の存在と重要性を認識することができる。

多くの情報は紙媒体の「Publish」からWEBでの「Share」に既に転換してしまった。学会は早急に論文のWEB公開に対して検討をしない限り、学会の対外的な価値は益々減少するだろう。

あともうひとつ。これは誰にでもできることの提案。
過去の研究会、全国大会のプレゼン資料を、みんなでWEBにアップしませんか?論文のWEB公開はNGでもプレゼン資料は学会の許可は必要ないはず。プレゼン資料をアップするだけでも、自分の仕事の認知度は上がるし結果的に学会のステータスもあがるので。プレゼン資料は読みやすいので論文をアップするよりも注目度が増すかも。

会社の人は厳しいかもしれないけども、逆に会社がそのような公表サイトを作って欲しいところ。

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コメント

まさお様

すばらしい情報ありがとうございました。教えてもらったページをみて、今一度考察しなおしたいと考えています。

投稿: Tomo | 2009.02.25 19:22

多くの学会では著作財産権を学会側に譲渡する取り決めとなっています。
学術雑誌掲載論文がどのような著作権規定によっているかは、SCPJというサイトで調べることができます。
http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/scpj/

見てもらえればわかりますが、多くの学会ではすでに著者自身によるWeb公開を認めているところもあります。たとえば、情報処理学会や電子情報通信学会は出典等の著作権注記を付与することでWeb公開が可能です。

態度を明示していない学会であっても、非営利目的での著者自身による利用は問題なく認めるところが大半と思います。もし不明な点があれば、学会事務局に問い合わせるとよいでしょう。問い合わせが多くなるほど、自由に使えるという公式に許諾を明文化する学会が増えるので、後進にも楽になると思います。

投稿: まさお | 2009.02.20 20:22

著作権、学会の収支および運営、産学共同研究における企業の特許戦略との兼ね合い等に関する考察があると説得力を持つと思います。

投稿: ni | 2009.01.15 19:54

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