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2009年1月の5件の投稿

2009.01.17

オフィスツアーのご案内:スカイリー・ネットワークス(1/30[金])

今回のオフィスツアーは、通常と違いeffyさんが企画しています。

オフィスツアーの訪問先は、スカイリー・ネットワークスさんです。 無線LAN等のワイヤレス技術と、P2P技術の組み合わせを可能にする 独自開発のマルチホップ型無線ネットワーク技術により「ワイヤレスP2P」 を実現するソフトウェアや開発キットなどを手掛けています。

株式会社スカイリー・ネットワークス
http://www.skyley.com/

オフィスツアー概要
□日時:2009年1月30日(金) 19:30-
□場所:スカイリー・ネットワークス オフィス
東京都港区芝公園3丁目6番22号 JCビル3階
http://www.skyley.com/company/map.html
(直接会場にお越しください)
□定員:8名
□参加条件:Blogかmixiに感想を書いていただける方
□参加費:無料、ただし各自飲み物とおつまみをお持ちください。
□参加方法:mixi経由でお願いいたします。
http://mixi.jp/view_event.pl?id=38899119

当日は、1/23に行われる総務省の実証実験の結果の報告や、 デモなどを行っていただける予定です。
http://www.kanto-bt.go.jp/if/press/p20/p2101/p210107r.html

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2009.01.12

P2P研究者は全て知っておきたい5つの最新キーワード

最近FlashのP2P通信対応など、P2Pの応用技術が非常に注目されています。更にP2Pの技術要素もここ数年少しずつ変化しています。ここではP2P研究者は知っておきたい、最新キーワードをやさしく掻い摘んで解説します。

□サーバサイドP2P

歴史的から言うとP2P技術はWinnyやSkypeのように個人の端末のリソースを上手に利用する技術でした。しかし最近、このP2P技術をサーバに応用することが盛んに行われています。これがサーバサイドP2Pと呼ばれる技術です。

サーバサイドP2Pが注目されるきっかけはAmazonやGoogleのような大規模WEBサイトの登場です。超大量な処理を行うためには既存の分散技術だけでは対応できなくなりつつあるのです。特に分散ストレージや分散データーベースにおいてサーバサイドP2Pは活躍します。ここ最近一番P2P界を賑わせているトピックなので、関連論文には目を通した方が良いでしょう。

代表例がAmazonのDynamo、楽天のROMAです。

□P2Pトラフィックの最適化

P2Pシステムは現在も大量のネットワークリソースを消費しています。この消費を抑制するために一部のISPではP2Pトラフィックを独自に絞っています。しかしこの手法では合法的なP2Pシステムにまで影響を与えてしまいます。

そこで考え出されたのが、ノードのネットワーク情報をうまく使ってP2Pトラフィックを最適化することです。具体的な例を示しましょう。今ISP1にノードA,ノードB,ISP2にノードCがあるとします。そしてノードBとノードCはコンテンツPを持っているとします。ここでノードAがコンテンツPが欲しいとしましょう。まず、ノードAはノード情報を管理しているサーバZにコンテンツPを持っているノードを検索するように依頼します。サーバZはノードA~Cのネットワーク情報を用いて、ノードAからネットワーク的に最短であるノードBを回答します。(*これはP2Pトラフィックを最適化をする実現方法の一例です。)

代表的なものがアメリカのP4P、日本のP2Pネットワーク実証実験です。私もこのプロジェクトに関わっています。IETFにおいてもTANA(P2Pが利用するトラスポートプロトコルの議論)、ALTO(ノードのネットワーク情報を管理するサーバとのインターフェース規定の議論)が設立されています。

□WEBブラウザー間P2P通信

WEBブラウザーにプラグインなどをインストールしてWEBブラウザー間でP2P通信を行うことです。FlashがP2P通信を実現したことで一躍注目を浴びました。日本ではbitmediaがJavaアプレットを使ってP2Pライブ配信を行っています。ActiveXでも同様のことが実施できるでしょう。

□IPv4アドレス枯渇

IPv4アドレス枯渇に伴い、P2PシステムはIPv6化する必要が出てくるでしょう。IPv6に対応しているP2P製品として、アリエルのグループウェアが知られています。

一方IPv4を使うユーザにはキャリアグレードNATの影響が懸念されます。P2PシステムはUDP/TCP hole punchingなどのNAT越え技術をインプリする必要があるでしょう。

□P2PSIP

SkypeのようにP2Pを使ってVoIPを行うことを標準化する、IETFのWGです。以前よりは注目度が下火になりましたが、議論を重ねたドキュメントが少しずつリリースされています。P2P技術の課題等がまとまっているので、時間があれば目を通すと良いでしょう。

===
如何だったでしょうか?P2Pに関心がある人は、この5つはある程度説明できるぐらいには情報収集すると良いでしょう。







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2009.01.11

勉強会とは戦略を実践する場である。

複数の勉強会企画・運営で一番得たものは何かと言われれば、即答で「コネクション」と言うと思う。二番目は「経験」だ。では三番目と言ったら、それはおそらく「戦略」を考えるきっかけとなったことだろう。

勉強会を行うと、主催者としては「参加者や講演者にもっと満足して欲しい。」「もっと参加者を増やしたい。」「この勉強会を多くの人に知ってもらいたい。」と考えるようになる。結果的には、それは勉強会の戦略を策定し、見直すことと同じことである。

特にマーケティング戦略や経営戦略は勉強会戦略に直結する。だからこそ、勉強会を企画、運営する人は絶対に戦略の基礎知識は学んでおくと良い。。特にコトラーやポーターなどの解説書はお勧めだ。数百円で買えるし。古典的な戦略書(たとえば孫子や三略など)も興味深い。

勉強会と具体的な戦略の対応付けは近々書いてみたい。具体的にはイベントのポジショニングやライフタイム、リーダシップの話を書くつもりだ。ただ、時間もスペースも余裕がないので、今日は勉強会の戦略を立てる、見直すために必要と考えている事項を簡単にまとめておく。勉強会運営のPDCAの一部を具体的に書き下したものになる。

1.ゴールを設定すること

主催者は勉強会を企画する際に何らかのゴールを設定すると良いだろう。ゴールとは短期的でも長期的にでも良いが、まずは次の勉強会が終わったときまでの結果を設定してみよう。ゴールとして次のようなものが立てやすい。

☆参加者数
☆懇親会参加者数
☆実際に集まった講師数
☆アンケート結果
☆Blog、Twitter、Mixiの感想エントリー数
☆上記エントリーに対する平均SBMのブックマーク数
☆懇親会等を通じた際のコメント

ゴールを立てることで、その勉強会が客観的にどの程度成功したかを評価しやすい。アンケートやBlogで感想を集めることは、自分以外の意見を集約するために必須と考えている。他の人の意見をもらうことで、自己満足な勉強会運営から脱却できる。ところでアンケートを取ることはよく実践されていることなのだが、アンケートの罠として具体的な意見を書くだけのスペースと時間がないことは、あまり知られていない。だからこそ、アンケートの補完としてのBlog感想を書いてもらうことは重要な意義があると考えている。

ちなみに感想記事を書いたらSBMでブックマークしてもらうことも忘れずに。そのイベントが実施されたことを多くの人に知らせるための最も容易な戦略の一つである。

そして次が重要。

2.勉強会の結果を見直す

設定したゴールと結果がどの程度乖離したかを考える。失敗した場合は自然と原因を考えるものだが、ここでポイントとなることは成功した場合もその原因を考えることである。特にドラッカーが唱えたように予期せぬ成功については慎重に原因を分析すること。成功した場合には、その成功に満足して何も考えない人がいるのだが、これを多くの視点で見直すことが勉強会を更に飛躍するための重要なキーポイントなのだ。

予期せぬ成功とは一体なんだろうか?SBM研究会で例を挙げて説明してみよう。

結果A:第1回SBM研究会では、Twitterを使って感想を書く人が多いことを発見した。後々Twitterを見直すと相当数の人が感想を会場で書いていた人がわかった。

これを見ただけだと、多くの人はギーグなヤツばっかりSBM研究会に参加しているな、で終わってしまうかもしれない。しかしこれで終わってしまったら大変もったいない。

3.仮説を立てる

今、予期せぬ成功「結果A」が発生した。ここでこの「結果A」をうまく次回の研究会につなげることを考えたい。

結果Aについて状況を分解しよう。

状況:B-1:無線LANを会場に用意しなかったのに、Twitterを使っている人が多かった。
状況:B-2:Twitterの利用者は手探りで会場のほかのTwitterユーザを探していた。

となると、次の仮説が成り立つのではないかと考える。

仮説C-1:会場が無線LANを使えればTwitterを使う人がかなり増えるはず。
仮説C-2:もしもTwitterユーザが簡単に感想を投稿できるコミュニティを作れば、もっと意見交流が活発になるはず。

4.次の行動を考える

そこで、仮説C-1、仮説C-2より以下のアクションを考えることになる。

行動D-1:無線LANが利用できる100人以上を会場を確保する。
行動D-2:@sbm2を使って、ここをフォローしたユーザはSBM研究会の感想を簡単に投稿できるようにする。

あとは仮説を実践し、イベント後に検証するだけである。

勉強会が戦略を実践する場として優れているのは以下の4つであると考えている。

1.自ら実践できる。(机上で終わらない。)
2.費用や時間があまりかからない。(ローリスクである。)
3.何度でも実践できる。(トライ&エラーが可能。)
4.コネクションなど得るものが大きい。(ハイリターンである。)

自ら何度でも経験できることで、PDCAサイクルがうまく回る。これによって戦略を自ら経験することができる。このような経験ができる場はマーケティング、広告、経営戦略の部門に配属されない限り、あまりないと思う。あるいは相当の役職に就かない限り。そしてそのような部門や役職にたどり着けるには、容易ではない。

個人的な意見だが、可能であれば勉強会は複数運営したほうが良い。それも、勉強会はそれぞれ特色を持たせたほうが良い。というのは複数の勉強会の運営・企画を通じて、勉強会を客観的に分析ができるからだ。これが、思いっきり学術寄りのDHT勉強会から、ITに興味があれば気軽に参加できるオフィスツアーまでバラエティに富んだイベントを私が企画・運営している理由である。

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2009.01.04

学術論文とプレゼン資料はWEBで即時公開すべきだ!

SBM研究会、P2P勉強会等を主催してきて感じたのは、学会発表というのものが対外発表の価値として少しずつ低下しているということである。対外発表としては、学会発表のほかにIT系の勉強会や特許出願、企業主催の講演会、展示会などが考えられる。ここで注目すべきなのはIT系勉強会の注目度が近年急激に上昇したことである。

ここではなぜ学会の価値が下がっているの、そして学術論文をWEB公開にすることにより、その価値を上昇できることを示したい。

参考:Tomo's Hotline 「学会系研究会」 v.s.「 プライベート勉強会」を超えて

まず、現状を整理するために学会の良いところを書いてみよう。

1.専門家が集まることで、良質な意見が集まる。
2-1.論文で発表することは学会による審査がパスしているので、それなりの価値があると判断できる。
2-2.研究会や全国大会は(キワモノもそれなりにあるのだが)学会会員の注目を集めるために相当レベルの発表が期待できる。

そして学会の欠点は以下の4点に集約できるだろう。
A. 新規性がなくても重要なもの(たとえばノウハウ)について発表しにくい。
B. 投稿してから出版として公開するまでの時間が長い。(特に論文)
C. 異業種間の交流が少ないために、仲間うちの意見に閉じてしまう傾向が強い。
D. WEBとして一般公開されるまでにBから更に数年かかる。場合によっては、一般公開されない。

Aについては学会のポジショニングの話もあるので、今回は議論としない。Bについても審査等の話があるのでこれも議論としない。今回はCとDの話について。

ここからはなぜ、学術論文をWEBで公開すべきであるか(つまりDの改善)、それによって学会の価値が上昇することを示したい。

まず、通常の人がある技術を調査する時には大抵が検索エンジンを使う。そして、その検索クエリとして重要なのは文章化してあるファイルである。というのは、その技術概要の記述をWEBページに書き直すのは非常に労力がいるためだ。大抵の研究的な技術的資料はpdfやpptのファイルとして存在する場合が多い。

ところで、日本の場合にはこのpdfやppt(パワーポイント、ここではpdf化したパワーポイントも指すこととする)がヒットする数が本当に少ない。海外の場合には論文のpdfやそのプレゼンのpptがよくヒットし、そのことから論文の存在を知ることが多いのだ。またpptはその論文をわかりやすく解説しているので、私の場合は

1.まずpptでざっくり意味を理解する。
2.次に論文のpdfでじっくり中身を見る。

ということを日常的に行っている。

ところで、日本技術サイトの場合はどうだろうか?まず論文がpdfで公開されていない。CiNiiでアップされていても読めるのは概要だけだったり、あるいはかなり昔のものだったりする。自分のサイトですら自分の論文のpdfを公開できない。(*学会によっては公開できるかもしれない。)更にはプレゼンのpptをアップしてるのは本当に少ない。

つまり、pdfやpptをWEBにアップしてないために、多くの人がその重要な仕事を知る機会を大きく損失しているのである。

私が何を言いたいのかというと、検索エンジンが知のハブとなっている今、WEBに論文、研究会、全国大会資料はすべてアップするべきであるということである。それも可能なら即時である。情報が急速に流通している今、時間が情報の価値を大きく決定付ける要因となっているからだ。その結果、論文の存在を多くの人が認識し、その結果論文が書いた人にも注目が集まる。結果的に学会のステータスも上昇する。

当然学会は学会誌販売によって生計を立てているところも多いと思うので、最低限著者のサイトでのみ著者に関する論文をアップすることを許可して欲しい。

WEBに資料をアップすることは、多くの異分野からの交流も図れる。学会には参加できない人から簡単にメールやTwitterで議論することができるからである。そのような異分野交流によって、著者の技術というのは更に磨きをかけることであろう。つまり、Cで指摘している、学会内の特定コミュニティによる蛸壺化を解消できる。更には学会外の人がその学会の存在と重要性を認識することができる。

多くの情報は紙媒体の「Publish」からWEBでの「Share」に既に転換してしまった。学会は早急に論文のWEB公開に対して検討をしない限り、学会の対外的な価値は益々減少するだろう。

あともうひとつ。これは誰にでもできることの提案。
過去の研究会、全国大会のプレゼン資料を、みんなでWEBにアップしませんか?論文のWEB公開はNGでもプレゼン資料は学会の許可は必要ないはず。プレゼン資料をアップするだけでも、自分の仕事の認知度は上がるし結果的に学会のステータスもあがるので。プレゼン資料は読みやすいので論文をアップするよりも注目度が増すかも。

会社の人は厳しいかもしれないけども、逆に会社がそのような公表サイトを作って欲しいところ。

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2009.01.02

昨年のはてブ数トップ10記事は?

明けましておめでとうございます。今年はBlog記事の執筆量を多くしたいと考えています。昨年同様ご愛読の程よろしくお願い致します。

さて、昨年のTomo' Hotlineのはてブ数トップ10の記事をずらっと書いてみます。

1位 47はてブ 
第2回SBM研究会最終調整の悩み

2位 37はてブ 
ソーシャルブックマーク研究会の概要&参加者募集開始

3位 35はてブ 
第2回SBM研究会講師陣+参加者募集のお知らせ

4位 32はてブ 
P2P研究者にお勧めするRFCとドラフト

5位 29はてブ 
はてブによるコミュニケーション形態を分類してみる 

6位 24はてブ 
はてブ数とアクセス数の関係を数式化してみる

7位 23はてブ 
はてブのコメントに「お題」を設けたらどうだろう?

8位 22はてブ 
ストリートビューよりもレールビューが欲しい

9位 20はてブ(同率が2つ)
NAT技術者にお勧めするRFCとドラフト
P2Pアプリがブラウザー上で動作する!?
 
こう見ると、SBM研究会を開催したこともあり、SBMネタが上位を示しています。もともと、はてブでの統計なのでSBMユーザがSBMに関心を持つというところは至極当然かもしれません。あとは、50を超える爆発的なネタは残念ながらなかったです。

P2PやNATのネタではてブ数が伸びなかったのは個人的には残念。もうちょっとライトなネタを書けばよいのか、それとも書き方を変えればよいのか悩んだ時期もありますが、技術ネタについては、ある時期から好きなことを好きなように書くことにする、と決めました。P2PやNATについては、はてブ数がどうであれ、自分が思うようなクオリティの高い記事を今後も書き続けます。P2P、NATが本来の私のコア技術なので。

時代がもっとP2PやNATに注目してくれれば、今書いている記事ももうちょっと関心持ってくれるのかな。救いなのは2,3年、あるいはそれ以上前の記事をブックマークしてくれる人が多いことです。

まあ、今後もマイペースでBlog書きますので、是非SBM等でコメントをよろしくお願い致します。皆様のSBMでのブックマークや感想が私の執筆意欲を増加させます。

今年は勉強会戦略ネタを増加させようと思います。もちろんP2P、NAT、SBM、現代音楽ネタも充実させる予定です。

今年初の勉強会は、おそらくP2P関係で春頃になるかと思います。
今年も何卒よろしくお願い致します!

    

 

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