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2008.10.25

Operaのブラウザー戦略を考える~Operaオフィスツアーを企画して

ちょっと前の話だが、10/10(金)にブラウザーでご存知のOperaオフィスツアーを開催した。

P2P技術者コミュニティからのゲスト13名が東京オフィスを訪問
Operaはブラウザじゃぁなかったんだよ!「オフィスツアーOpera編(2008/10/10)」
10/10にOpera見学ツアーに行ってきました

SBM研究会のように、オフィスツアーの感想や関連記事は[オフィスツアー]タグでクリッピングしている。

はてブ[オフィスツアー]タグの記事

さて、オフィスツアーの内容については既に素晴らしい記事があるので、ここでは私が考えるOperaのブラウザー戦略について述べたい。

□最新Web技術に対応、ゆえに!

Operaは数多くの最新Web技術に数多く対応している。ローカルコーディネーターとしてお世話になった市川さんのBlogを引用すると、Operaは「Javascript、Web Forms、SVG をはじめとする、昨今話題な“HTML 5”をふくめた最新ウェブ標準技術」に対応、とのことである。そしてOperaがW3CなどのWeb技術の標準化作業に大きな役割を果たしているのも忘れてはならない。

さて、参加者が一同に驚いたのが、通常のブラウザーであればjavascriptやFlashでしかできないことが、OperaではHTMLを数行追加するだけで実現してしまうことである。サイト運営者が実現したいことが簡単にできるということは、Webサービス事業者によってとても魅力的なことだ。更にOperaは標準化を先取りして実装している機能も色々ある。

このように書くとOperaは技術力が高い企業であることがすぐにわかるだろ。しかしこの標準化あるいはドラフト仕様をいち早く実装することは、「技術力のアピール」だけでない「ビジネス面での戦略」が大きく隠されていることを指摘したい。

まず、標準化を先取り実装することはリスクがある。というのも他のブラウザーがまだそれらの最新技術を実装してないと、WEB作成者がその技術を容易に採用するとは思えないからだ。ただし、「アレ」のケースを除いては。

その「アレ」とは組み込み系である。OperaはWii、Nintendo DSi,携帯電話、スマートフォン等多くの組み込み系ブラウザーを提供している。PC版のブラウザーとは違い組み込み系は何らかのロイヤルティが機器メーカーからOperaに支払われると考えられる。つまり、組み込み系へのブラウザー提供はOperaにとって「儲けられる」魅力的な分野である。また組み込み系の世界では利用するブラウザーは原則一つに絞られる。つまりブラウザー主導のWeb技術の世界が広がっている。

さて、組み込み系サービスクリエーターによって頭が痛い問題は「効果的なページ」を「いかに容易に」作る方法を模索する必要があることである。PC版のようにjavascriptやFlashを使うことも考えられるが、Operaが採用している最新Web技術を使えば劇的に簡単にページを作る必要が可能である。さらにその最新Web技術を使えるのは現状Operaだけなので、ブラウザーの差別化ができる。もう少し言うと、Operaが実装している技術は標準化団体で採用・検討している技術である。つまり、独自に勝手に考えている技術ではありませんよ、と組み込み系メーカーに言える事も大きな強みといえよう。標準化というのは、グローバルな世界、中長期的な製品ライフタイムを考慮する上で欠かせない問題であるのだ。

まとめると、

・Webサイトを簡易に作成できる(おそらく組み込み系を意識した)Web技術標準化に力を入れている
・上記Web技術をOperaが先駆けて実装している
・グローバルな企業なため、各地域のローカライズが可能。つまり、グローバルな製品に対応できる

により、組み込み系ブラウザー市場においてOperaは優位なポジションを維持することができるだろう。

□単なるBitTorrent機能を超えて

私はP2P屋なのでOperaのBitTorrent機能についても書いておきたい。

まずBitTorrent機能をうまく使えば、Operaのバージョンアップなども高速に行えるだろう。このことはユーザーの利便性を増すだけでなく、Operaのダウンロードサーバの負荷を大幅に軽減することを指す。

さて、ブラウザーの視点を少しはずしていこう。私が注目したのは、やはり「組み込み系」である。

ご存知の方も多いと思うが、最近コナミのオンラインゲームの一部がBitTorrent機能を実装している。理由はゲームのパッチ配布をBitTorrentで行うからである。ところで、各ゲームメーカが追随してBitTorrent機能を実装するのは、ゲームプラットフォーム屋として見た場合、とても効率が悪い。

そこでゲーム機器メーカーがBitTorrent機能を実装することが考えられる。しかしもう一つより簡単にBitTorrentプラットフォームを提供できる方法がある。それはOperaのBitTorrentコンポーネントを利用することである。

もし、OperaのBitTorrentコンポーネントが他のアプリケーションやOSから利用できれば、そのゲーム機器やゲームソフトはBitTorrent機能を実現することができる。デリバリーとしてはゲーム機器メーカーがBitTorrentコンポーネントをコアとして有する方法と、各ゲームメーカーがゲームソフトの中にコンポーネントを有する方法の2つがあるだろう。しかしブラウザー利用との親和性から言って、前者の方が望ましい姿だと考えている。

組み込み系の世界を離れて、BitTorrent機能を活用できるもう一つの分野は端末間P2P通信である。Operaを使えばブラウザーの中で閉じたP2Pの世界、つまりブラウザー間直接通信が可能であろう。ブラウザーはクライアントにもサーバにもなり、それによって多様な世界が生まれる可能性がある。

ブラウザー間直接通信で広がる世界と課題

□あとがき

ブラウザー、というと高速表示が話題になることが多く、それを踏み越えた技術にはなかなかウォッチできない人が多いだろう。特に標準化動向というと、単なる技術問題でしょ?と片付けてしまう。しかし標準化動向を注意深くウォッチすると企業のビジネス戦略が垣間見れることがしばしばある。

Operaの最新版ブラウザーは高速表示だけでなく、最新Web技術を先取りして体験することができる。Operaを使えば、Operaの戦略が見えるだけでなく今後Webというのがどの方向に進むのかぼんやりと見えてくるだろう。それは3年後のWebサービスを考える上で重要な経験になるはずだ。

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