P2P研究者にお勧めするRFCとドラフト
意外に知られていませんが、P2Pに関するRFCやドラフトは複数あります。
ここではP2P研究者にお勧め、いや読むべきRFCとドラフトを紹介します。また最後にIETFの最新動向も。
□RFC4981 "Survey of Research towards Robust Peer-to-Peer Networks: Search Methods"
http://tools.ietf.org/html/rfc4981
その名の通り、P2Pに関するまとめRFC。P2P教科書を読んで大体わかったらこれを読むべし。P2Pの分類方法からネットワークの近接性やNAT越えの問題等ほとんどのP2Pに関する分野をまとめている。参考文献が一杯載せてあるので、INDEXとして使うのが良いでしょう。
ということで、P2Pに現在取り組んでいる院生以上は必読です。
□RFC5128 "State of Peer-to-Peer (P2P) Communication across Network Address Translators (NATs)"
http://tools.ietf.org/html/rfc5128
P2Pに関するNAT越えについてまとめています。UDP Hole Punching/TCP Hole Punchingなどをわかりやすく解説。
□draft-ietf-p2psip-concepts-01 "Concepts and Terminology for Peer to Peer SIP"
http://tools.ietf.org/html/draft-ietf-p2psip-concepts-01
DHTを使ってSIP(IP電話等の呼制御)を使うためのコンセプトドラフト。P2PSIPのコンセプト自体はまだカチッと決まってないけども、DHTをどうアプリケーションに組み込むか、その課題とは何かを俯瞰するときに役立ちます。
☆IETFの状況
IETFでP2Pに直接関連したものにP2PSIPワーキングとP2PIワークショップがあります。
P2PSIPはDHTを使ってSIPを動かすことを目指すところ。簡単に言うとSkypeの標準規格版みたいなものでしょうか。こちらはコンセプトがまだ固まっていませんが、非常に活発な議論がされています。
それよりも注目すべきはP2PI(Peer to Peer Infrastructure)の方。先週MITで第一回目のワークショップが開かれました。
なぜ注目されているかというと、このワークショップではP2Pトラフィックをネットワーク的に適切に(あるいは最適に)流す仕組みを考えていくからです。既に個人ドラフトを出している人がいます。P4Pがこの手の研究では注目され且つ先行していますが、研究論文をみると不明瞭な部分があるのと、P2P業界団体主体の研究でもあるので、ややバイアスがかかっているように見えます。P2PIでの議論を通してそのような疑問点を払拭してくれるでしょう。
もちろん、P2PIの第1回MIT会合でP4Pの人も論文を発表しています。
P4Pがある程度知られたという事で、近いうちにP2PIやP4PをP2P研究者としての視点で解説します。背景と、なにが解決され、なにが課題として残るのかを。
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