吉田鎌ケ迫オフィスツアー(1/18)感想
1/18(金)携帯用P2Pフレームワークのリーディングカンパニー、吉田鎌ケ迫におじゃましました。吉田鎌ケ迫ではP2Pミドルウェア「Spear」を開発し、携帯ゲームメーカ等にミドルウェアを提供しています。またSpearを拡張して多人数でP2P通信が可能な「Spear Multi」も開発しています。
募集者は7名(吉田鎌ケ迫スタッフを除く)で、更に吉田鎌ケ迫からは3名参加して頂きました。
(参考)募集の周知の記事
□会社の雰囲気
スタッフはまだ10名にも満たない会社ですが、色々な会社から非常に問い合わせが多いという事で、やはり注目されている会社だと感じました。目下開発者を募集中で、欲しいエンジニアはアリエル同様「きれいなプログラムを書ける人」だそうです。また近いうちに、今より広いオフィスに転居したいとの事です。なお、社名は社長(吉田氏)と副社長(鎌ケ迫氏)の名前を続けてインパクトのあるものにしたとのことです。
□P2Pだけでない?
吉田鎌ケ迫というと携帯P2Pフレームワークで有名ですが、P2Pに固執しているわけではないそうです。当初はニッチなものに注力したいために携帯+P2Pという軸で取り組んできましたが、今後は更なる展開を考えているとの事です。もっとも起業時は携帯+P2Pでうまくいくと踏んで詳細調査をしたとこと、その当時はまだP2Pに対応している携帯がなくて愕然としたとのことです。一時は赤字寸前までなったとか。
□Spearのデモ
いよいよ携帯フレームワークSpearのデモです。クライアント=サーバ方式だと携帯間で1秒程度の遅延が発生するにもかかわらず、Spearだとほぼ瞬時に応答するのがわかります。Spearがオンラインゲームに採用される所以です。
なお、Spearでは一度携帯間をマッチングした後は原則はクライアント=サーバ間で通信をしないとのことです。そのため、クライアント=サーバ方式の携帯ゲームシステムに比べて、大幅なコスト削減が期待できます。
その後Windows Moblile上でのSpearのデモがありました。Google Mapsの上でペンで経路等をなぞると瞬時に相手の端末にその経路(すなわちペン情報)が伝わります。これは便利!と参加者全員が頷きました。
Spearの今後の展開ですが、他キャリアにも対応したいとのことです。もっともP2Pに対応しているキャリアは現状KDDIだけなので、実際に展開できるかどうかはキャリアの動向次第ということになりそうです。
□携帯+P2Pはブレークするか?
最後にまとめとして個人的な感想を書いておきます。
携帯+P2Pはブレークするかどうかですが、
[1]大手キャリア(Docomo,ソフトバンク)がP2P対応すること
[2]P2P対応する際にトラフィックを充分活用できる事(すなわち規制がないこと)
[3]P2Pのトラフィックに対して追加料金を課金しない事
の3点が必要だと考えています。[1]はもちろんのことですが、[2][3]ができないとP2Pでのファイル共有やVoIP等のP2Pを最大限活用できるサービスが実現できません。
携帯を使えば
[A]位置情報連携
[B]メール・電話連携
[C]カメラを使ったサービス(動画配信、静止画のファイル共有)
[D]携帯な個体識別子情報によるユーザ認証
を使ったP2Pサービスが実現できるでしょう。P2Pは認証が弱いことが欠点の一つですが、Dを使えば非常に強固なP2Pインフラが構築できるかも知れません。
ユビキタスな世界になれば携帯を使ったサービスの市場規模は更に大きくなるでしょう。携帯+P2Pはこれらのサービスの構築のコストを抑える事によって、ユビキタス世界の拡大を支援することになると信じます。
参加者のBlog
吉田鎌ケ迫の鎌ケ迫さん
http://blog.yoshidakamagasako.com/kamagasako/item/572#more
SIProp 今村さん
http://www.noritsuna.com/archives/2008/01/post_100.html
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