情報とコネクションの集中~べき乗則から学ぶコネクション形成戦略
□はじめに
先日、グループ企業間の勉強会に参加した。講演内容は世の中のべき乗則をどのようなモデルで再現するかというものであった。べき乗則とはXという観測量がある場合、観測確率はXaようになることを言う。一般にaは負の数であり、Xの量が大きいほどその観測確率は低くなる。XとしてはBlogのリンク数やSNSのリンク数などがある。世の中の社会現象の多くはXが大きいごく少数のノードによって支配されるといわれる。
□なぜべき乗則は生まれるのか?
多くの社会現象でべき乗則が見られるが、それはどのように説明できるのだろうか?その多くは成長モデルで説明できるといわれる。
成長モデルではXの大きいノードの程更に大きなXを獲得しやすくなるモデルを指す。このモデルはバラバシ=アルバートによって解析され、有名となった。
□情報とコネクションは集約される
SNSのリンク数やはてなブックマーク数はべき乗則といわれている。SNSのリンク数がべき乗則ということは、恐らくリアルで接する人の数もべき乗則になると推測できる。
先ほどの成長モデルで考えるとリアルで接せる人の数が多い人は更にリアルで接する人が多くなる。つまり富めるものは富める原理である。そしてコネクションが多ければ情報はその人に集中する可能性が高くなる。つまり情報とコネクションは次第に集約される。その情報によって更に新たなコネクションを形成し、且つ今までのコネクションは深化していく。コネクションと情報という結びつきが循環的に起こっているのだ。
ここまで読んだ人なら、べき乗則の世界に従う現在において、コネクションがない人は、一生コネクションが少ないまま終わってしまう確率が高いように思えてしまうかもしれない。
□成長モデルから学ぶ戦略
ではコネクションが少ない人はどのようにしてコネクションを増やせばよいのだろうか?成長モデルは3つの戦略を教えてくれる。
[戦略1]人と接する機会を増やすこと
他人とコネクションできる確率をpとしよう。自分が有名人でもない限りpは人によらず一定だと考えられる。pを上昇させるにはスキルアップしたり知名度を上げたりと非常に困難が伴う。
pが一定という条件ならばコネクションを増やす有効な戦略は人に会う機会を積極的に増やすことだ。例えばオフ会に行ったり、勉強会や研修、あるいは飲み会に行く事である。べき乗側によるとコネクションが多い人ほどコネクションは増えやすくなる。ということは、この戦略はなるべく早く行ったほうが有効だ。
[戦略2]知名度を上げる
これは戦略1に比べて難しい。この戦略では他人が自分に対してコネクションをしたいと思わせる事を狙う。つまりpを上昇させる事に繋がる。
多くの場合pを挙げるには、ニッチな部分に特化して有名になる戦略が有効だろう。ニッチは学術的でも良いし、あるいはエリアでもよい。これは広範囲の分野で知名度を上げることは非常に難しい事だからである。ニッチになればなるほど、その分野で知名度を上げることは一般的には容易だ。
ニッチな分野について有名になれば、もちろんその分野でコネクションが広がる。しかしながら時間が経つと他の分野の知人からエキスパートとして紹介されるようになる。実はこの後半の部分が非常に重要である。コネクションという目から見るとニッチな部分よりも寧ろ他の分野から知られる事の方が有効である。ここまで行けば、コミュニティのハブとして機能する可能性が出てくる。
[戦略3]コネクションが多い人と知り合いになる
コネクションが多い人と繋がることは、多くの情報やコネクションが自分に対しても流通することを意味する。この戦略3はとても重要な戦略なのでできるだけ実践することを勧めたい。
コネクションの多い人はたいてい忙しい人だし、多くの人と会う機会がある。そのような環境の中でなんらかの自分の特徴やスキルを認知してもらう必要がある。そうしないと、自分のところに有効な情報が流れてこない。自分のことを認知してもらうには戦略2のように、人に負けないような得意な分野をつくり、定期的にアピールする事が有効だろう。
ハブとなる人とは長期的な関係になる場合が多い。SNSでコメントをしたり、Blogでトラックバックをしたりとお互いに信頼できる関係を築く事も大切だ。ハブとなる人と仲良くなるには単に名刺交換したり、メールを2,3通するだけではダメなのである。自分の特徴をアピールする事と信頼関係を作る事が重要なのだ。
□SNSとリアルのコネクション
SNSが生まれてからコネクション形成の戦略が変わりつつある。詳しくは次回に述べてみたいが一ついえることはSNSやBlogを有効に活用する事はコネクションを迅速に形成する有効な手段であることだ。なぜならSNSやBlogをうまく利用すれば、自然と戦略1から戦略3の全てを取る事になるからだ。
一つだけ言いたい事がある。人はそもそもリアルなコミュニケーションによって成り立つ存在である。バーチャルなコミュニケーションはコネクションを加速させる、あるいは創生することはできるが、リアルなコミュニケーションほど深化しない。バーチャルとリアルなコミュニケーションをうまく組み合わせる事が今後のハブとなる人間の特徴となるだろう。
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