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2007.05.07

[P2P]P2Pを応用した仮想世界の提案

□はじめに
仮想世界というと「セカンドライフ」を思い出す人が多いだろう。日本ではまだそれほどブレークしてはいないが、今後有名人が参加する事で多くの人がトライするきっかけになるかもしれない。「セカンドライフ」はクライアント=サーバ型モデルであるが、P2P型にした場合、仮想世界がどのように発展するのか考えてみよう。

□負荷分散という利点もあるが。。
クライアント=サーバ型からP2P型にした場合、一番のメリットは負荷分散であろう。大きなサーバや太い帯域の回線は必要ないので、結果的に事業者側のランニングコストは大きく下がる。しかしこれではP2Pのメリットを充分活かしてない。

□ユーザ数に応じて仮想世界が広がっていくというストーリーはどうだろう?
仮想世界に参加するときにユーザはP2Pソフトをインストールするとしよう。ユーザの参加者数が増えればP2Pソフトのインストール数が増え、それだけ仮想世界全体のシステム処理能力が向上するはずだ。この現象を使用してインストール数(あるいは処理能力)に応じて仮想空間が増加するというのはどうだろうか?例えば仮想世界で当初東京都だけあったものが、あるユーザ数が増えると神奈川県もエリアとして広がる、のようなものだ。すなわち、ユーザ数が増加すればするほど、仮想世界は広大になる。

仮想世界が興味深ければユーザ数は一定期間増加し、その結果ユーザは巨大な仮想世界を満喫することができる。そうすれば、口コミでユーザ数がまた増えるという好循環が生まれることが想定される。ユーザ数が増えれば全体の処理能力が増えるというP2Pならではの仮想世界のモデルだ。

□仮想統治という世界
ユーザ数が増えると仮想世界は広がるのだが、ユーザはPCの処理能力×処理時間に応じて、統治できる領土の広さあるいは仮想マネーが与えられるするのも面白いアイデアだろう。セカンドライフが仮想マネーを使うように、私が提案する仮想世界ではPCの処理能力×処理時間が領土の広さまたは仮想マネーの割り当てとなる。もちろん、仮想世界で独自のビジネスを立ち上げて仮想マネーを稼ぐ事も可能だ。処理時間というファクターを与える事により、多くのユーザが長時間P2Pネットワークに参加しやすくなる、。(インセンティブ効果)このことは仮想空間が(ネットワーク的に)安定して存在しやすくなることを意味し、事業者側にもメリットがある。

□ヘビーユーザならではの楽しみ「モジュール開発」
ヘビーユーザであれば、自分なりにカスタマイズをするのもよいだろう。ここではP2Pならではの楽しみ方法を提案してみよう。P2Pソフトウェアに自分の開発した(あるいは他人からもらった)追加モジュールをプラスする。すると、自分が得た領土では標準的な仮想世界以上のことができるようになる。例えばチャットやメールなどのコミュニケーションサービスである。開発者はこのモジュールを仮想マネーで他ユーザに販売も可能だ。事業者側は自ら開発しなくても新たなサービスが生まれる「エコシステム」によるメリットを享受する事が可能だ。

□事業者のビジネスモデル
事業者は広告モデル以外に分散処理をユーザに課することによって、ある一定の収益を得る事ができるかもしれない。いわゆるグリッドビジネスである。更にヘビーユーザが作った開発プロダクトに事業者の認証ライセンスを与えるというライセンスビジネスも可能だろう。

□終わりに
仮想世界でP2Pを使う事でクライアント=サーバ型では難しかった楽しみが広がってくると考えている。この考え方はMMORPGのようなオンラインゲームにも応用できるはずだ。P2Pを単に負荷分散のためのシステムと捉えるのではなく、さらにもう一歩考える事によって今までにないユニークなサービスが生まれる事を期待している。

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