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2007年5月の5件の投稿

2007.05.31

私が考える勉強会(オフ会)開催戦略

□はじめに
今までに勉強会やオフ会の主催を10回程度している。P2P勉強会2回、DHT勉強会2回、P2P・DHT勉強会 in 関西、Skype Conferece、VoIP Conferece。。変わりどころではオイスターバーオフ会を4回実施している。お蔭様でどのイベントも参加者から好評を頂いているようだ。その他にP2P新年会や納涼会などのイベントもあった。なお今年度は今後P2P勉強会(今秋)とSBM勉強会、VoIP Conference(来年頭を計画中)を開催する予定だ。

最近マーケティングやマネジメントの本を読む機会が増えたのがきっかけで、私が主催した勉強会(オフ会)がどうして成功したのか少し考えてみたので、少しまとめてみたいと思う。

□ポーターの戦略
マーケティングでポーターの戦略といわれる非常に有名な戦略がある。簡単に言うと
・コストリーダーシップ戦略
・差別化戦略
・集中化戦略
である。
詳しくはポーターの競争戦略理論を見て欲しい。
ポーターの戦略はマーケティング戦略にとどまらず、適用範囲が非常に広い。ここでは勉強会開催の戦略を上記の3戦略を踏まえて論じてみたい。

□コストリーダー戦略
いわゆる低価格戦略である。同じ品質のものであればより低価格のものが売れる。勉強会でも同じクオリティであれば、参加費が安いほうに原則流れる。

コストリーダー戦略は非常にわかりやすい。しかしその実現には注意が必要だ。なぜならば、講師や講演内容が悪ければ、どんなに安くても(つまり無料でも)参加者が集まらないからである。つまり講演内容のクオリティを一定以上確保し且つ低価格な参加費でペイする必要がある。

これを私が実現するために、以下の戦術を取った。
・ボランティアスタッフの募集
・公共(大学含む)会場での勉強会開催
・Blog、SNSコミュニティでの講師の公募
・私、あるいはハブとなる人経由での講師の推薦
・配布資料の簡素化(原則講演資料はWebベースで配布)

一般的にボランティア主体による勉強会開催の場合、参加費は2000円以下に抑える必要があるだろう。それ以上だと個人の参加でなく企業の参加がメインになり、いわゆるイベント会社が実施するカンファレンスとほぼ同じノリになってしまう。あくまで参加者の意思で本当に参加したいイベントにしたかったのだ。

またクオリティが一定なら低価格がよいとも限らない。低価格だと参加者の参加障壁が下がり、キャンセル者が多くなったり、ほとんど関心がない人が来るからである。そのためああえて1000円程度の会費を集めた方が逆にキャンセル率を下げたり、参加者の講演に対する意欲を高める事になる場合がある。

もう一つだが、講師の講演内容を調整する際に講師が何を話したいのか充分聞きだすことがが大切である。講師が話したい事に一定時間割けば、例えば講師にお支払いする費用が安くても講師の方は非常に満足され、継続して講演して頂いたりあるいは他の有識者を推薦して頂ける。

□差別化戦略
既存の勉強会となんらかの差別化をする必要がある。例えばP2P勉強会は第1次P2Pブームが去った以降、P2Pに関するカンファレンス、イベントなかったのでP2P Todayさんと相談して開催したのだ。一番の差別化戦略は、全く誰も実施したことがない(あるいはほとんど前例がない)勉強会を実施し、勉強会としての注目を早期に集める事だ。

私が新たな勉強会をするポイントは
[1]Xに一定の注目が集まっている
[2]しかしながら、そのXの勉強会は開催されていない
[3]Xに関する勉強会が開催されていたとしても、浅い議論や偏った議論しかされていないか勉強会参加費用が非常に高価な

である。今後開催する予定のSBM勉強会は[1]、[2]に該当する。同じく今後開催する予定の放送と通信の融合勉強会は[1],[3]に該当する。

もしこれから勉強会を開催したい!という人がいれば、Twitter勉強会やセカンドライフ勉強会などがお勧めだろう。

ちなみにオイスターバーオフ会も差別化戦略だ。オイスターバーに行く人はカップルや2,3人の友人が通常である。そこにあえて団体で食事会をするという発想を持ち込んだのだ。更に参加者は原則飲み放題にした。おかげ様で一人7000円以上も出費するオフ会もあったのに参加者の満足度は非常に高かった。

□集中化戦略
勉強会のテーマを絞る事だ。例えばSkype ConfereceやDHT勉強会はP2P勉強会から派生した講演会だが、テーマをより絞ることで講演も参加者も非常に高いクオリティを維持する事ができた。ただし絞りすぎると参加者が集まらないというワナもあるので、事前にMixiのコミュニティでアンケートを取るなど充分検討した方がよいだろう。またニッチな勉強会であれば講師もMixiのコミュニティでの公募でも比較的集まる可能性がある。

集中化戦略についてもう少し書いておこう。最近Web2.0に関する講演会が頻繁に開かれているが、これはテーマが広すぎて浅い議論しかできないと考えている。またこの手の講演会は大手セミナ企業が開催しているので、そちらに参加者が流れてしまうし、開催したとしても講師に支払う費用も高くなり、結果的に参加費用が高くなるだろう。ボランティアベースであれば逆にニッチなところを狙いテーマをYoutubeやSBMやMixiのみ等1点に絞込みをすることが必要だろう。

□ポーターの戦略よりも大事なこと
ポーターの戦略により勉強会開催戦略の概略を見た。ここで勉強会戦略にも関係するかもしれないが今まで書ききれてない重要な事を簡単に列挙してみる。

-やるといったらやること
どんな小さい事でもやると決めたら最後までやる勇気が必要である。勉強会は案ずるより産むがやすしである。面白い企画なら多くの人が賛同するはず。

-協力者を募ること
協力者を積極的に募る事は自分の稼動を低減することだけでなく、勉強会の戦略の軌道修正にも繋がる。なるべくいろいろな人の意見を聞くこと、人の意見を聞く事、コメントを出す事。これらはスタッフ間の結びつきを強くします。

-コネクションを大切にすること
勉強会でできたコネクションは一過性のものではありません。現に勉強会のおかげで雑誌の執筆や本の執筆(現在進行中)をしたり、ビジネス面にも良い結果に結びついています。SNSのマイミクに登録したり、勉強会後もMLで継続して議論することでコネクションを強める事ができます。またなるべく懇親会を開いていろいろな人と素直に意見交換できる場を設ける事がよいでしょう。

-継続的な勉強会の実施
なるべく継続的に勉強会を開催してください。継続的な勉強会開催は勉強会の注目度を集めるだけでなく、形成したコネクションの定期的な強化に結びつきます。

-主催者はエンターテーナーであること、全ての人が楽しめる場であること
講師も参加者もそして主催者も全ての人が楽しめる会を形成する事が勉強会で一番大切なことだと思います。自分を含めて全ての人が楽しめる、そんな勉強会を作ってください。

皆様も是非勉強会を企画して見てくださいね。

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2007.05.28

[P2P]TwitterのP2P化を考えてみる

□はじめに
自分の状態や短いコメントを表示させるTwitterが非常に人気である。国内でも「もぐもぐ」等のサービスが出現し、SNSのように多くの人に広がるのも時間の問題のように思える。しかしながら急激な参加人数の増加のためにTwitterが度々メンテナンスをしているのも事実である。

今、Twitterのようなサービスを「プレゼンス系サービス」と呼ぶ事にしよう。本エントリーではプレゼンス系サービスの技術的課題を考えるとともに、P2P化した場合のモデルについて提案してみたい。

□プレゼンス系サービスの技術
Twitterをはじめてみると、おや?と思う事がある。自分がブラウザをリロードせずとも友人の新しいプレゼンス情報が随時表示されるからである。

この手のサービスを実現するには以下の2つの技術を使う事が考えられる。
-Javascript等を使って定期的にプレゼンス情報をサーバから取得する。
-Comet等を使ってサーバがプッシュ的にプレゼンス情報を送信する。

両者ともに、サイト側にトラフィックと処理が継続的に発生することがわかる。ゆえにある程度参加者数が存在し且つプレゼンス情報の更新が頻繁な場合、高価なランニングコストが必要と考えられる。

□プレゼンス系サービスのP2P化を考える
トラフィックと処理の分散が得意なのがP2Pであるので、P2P化すると先ほどの課題が解決されることが期待される。そこでプレゼンス系サービスのP2P化を考えてみよう。

ここではDHTを使ってプレゼンス系サービスをP2P化してみる。

準備:
ノードIDをNode_ID、ハッシュ関数をHash()とする。またプレゼンス系サービスのユーザIDをTwitter_IDとし、Twitter_IDの友人のIDをTwitter_Friend_IDとする。

システム構築方法:
Twitter_IDのプレゼンス情報及び端末のIPアドレスはNode_ID=Hash(Twitter_ID)に格納する。またTwitter_IDの友達リスト、すなわちTwitter_Friend_IDもNode_IDに格納する。

シーケンス
[1]Twitter_IDの端末はDHTネットワークを使って新しいプレゼンス情報をNode_ID=Hash(Twitter_ID)に格納する。
[2]Node_ID=Hash(Twitter_ID)は自ノードに格納しているTwitter_Friend_IDを用いてNode_ID=Hash(Twitter_Friend_ID)にTwitter_IDのプレゼンス情報が更新されたことを知らせる。
[3]Node_IDHash(Twitter_Friend_ID)は自ノードに格納しているTwitter_Friend_IDのIPアドレスを使って、Twitter_Friend_IDの端末にTwitter_IDのプレゼンス情報を通知する。

以外に簡単に実現できそうである。ただし実際にはNAT越え、認証、データの改ざん防止等の処理が必要である。

プレゼンス系サービスをDHTで実現した場合の課題は情報取得の効率化である。lookupするノードや情報をgetするノードはほとんど変わらないので、特定ノードに対するIPアドレスを一定期間保有する等の仕組みが必要だろう。

□終わりに
プレゼンス系サービスにおけるP2P化の有効性とP2P化するためのモデルを考えてみた。個人的にはFireFoxのアドオン機能にこのP2P化したシステムが搭載すると、とてもスマートだと思っている。是非とも実装にチャレンジしてみて下さい。

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2007.05.23

トラックバックスパム対策をまとめてみる

最近トラックバックスパムがひどいので対策方法をまとめてみました。どのくらいひどいかというと1日10件ぐらいくるときがあります。(もしかして少ない方?)

対処方法をまとめると以下のような感じかな。多分抜けや漏れは一杯あると思うので、誰かがきちんとまとめてくれるとうれしいです。

・blogサイトにユーザが通報
メリット:サイト側の実装が簡単。(のように思える)
デメリット:新手のスパムには対応しにくい。ユーザが少ないと効果が薄い。
*ココログが採用している。

・トラックバックスパムの特徴で判断
トラックバックスパムの特徴の一つとしてBlog内容がリンクしかない等があります。このような特徴があるものをスパムとして判定します。
スパムフィルター:ドリコムブログ

・ベイズ理論等で学習
ベイズの定理-Wikipedia
メリット:メーラーのスパム学習とほぼ同様のアルゴリズムが適用できる。ある一定期間学習すると、検知漏れや誤検知が少なくなる。
デメリット:最初のうちは効果が薄いのが難点。また当分ユーザ入力により学習を手助けさせる必要がある。誤検知がありうる。

・特定ドメイン、IPアドレスからのトラックバックを禁止
メリット:実装が簡単そう。
デメリット:あるドメイン、IPアドレスからの1回目のスパムには効果なし。通常のトラックバックも削除される可能性あり。

・CAPTCHAによってトラックバックURLを表記。
CAPTCHAとは文字・数字を画像的に処理にて機械的に文字を読み込ませる事を防止する技術です。
CAPTCHA-Wikipedia
CAPTCHAによるトラックバックスパム対策
メリット:ほとんどのスパムを防止できる。
デメリット:CAPTCHAアルゴリズムによっては画像解析技術を応用して機械的に文字が読まれる可能性あり。人がトラックバックURLを読み取った場合は防御できない。

・トラックバック元のページ内容あるいはタイトルのX%が日本語以外であればスパムとする。
メリット:実装簡単そう。
デメリット:日本語によるトラックバックには効果なし。
BiancaのTrackBackSpam対策[トラックバックスパム対策]

・Blogサイトでトラックバックサーバのホワイトリストやブラックリストを作る
大手のBlogサイトのトラックバックサーバについて相互にホワイトリストを作ったり、スパマーのブラックリストを交換する事を検討しているようです。
ITmedia-ブログにスパムの悪夢
メリット:効果的にスパムを減少させる事が可能。
デメリット:中小ブログサイトや個人サイトからのトラックバックがスパムとして扱われる可能性がある。Blogサイト側の維持運用が大変。

・Blogの設定を変える
トラックバックスパムを劇的に減らす方法
-Trackback Auto Discovery の設定を消してしまう。
メリット:検索エンジンを使ったスパマーからの攻撃を回避できる。
デメリット:上記方法以外のスパマーからの攻撃には効果が薄い。

・トラックバックURLを定期的に変える
トラックバックスパム対策で「mt-tb.cgi」をリネーム
メリット:トラックバックURLを長期間保持しているようなスパマーからのトラックバックスパムを減少させることができる。
デメリット:定期的にBlogサイト側がメンテナンスする必要がある。

・キーワードにより判断
paperboy&co.、ブログサービス「JUGEM」でトラックバックスパム対策などを実施
メリット:実装が簡単そう。
デメリット:キーワードに漏れるトラックバックスパムも相当量予想される。

・自分のBlogへのリンクがない場合スパムトラックバックとしてとらえる
やっとトラックバックスパム対策
・メリット:本当に自Blog内容を記述しているものだけトラックバック可能。
・デメリット:自Blog内容と関連があるがリンクまでは載せてないBlogエントリーも結構あるのだが、それらはスパムとして扱われる。

そろそろ疲れてきたのでここまで。なんか、このエントリーを書いていたら、このBlogへのスパムがもっと増えるような気がしてきた。ココログさん、何とかしてください。。

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2007.05.19

情報とコネクションの集中~べき乗則から学ぶコネクション形成戦略

□はじめに
先日、グループ企業間の勉強会に参加した。講演内容は世の中のべき乗則をどのようなモデルで再現するかというものであった。べき乗則とはXという観測量がある場合、観測確率はXaようになることを言う。一般にaは負の数であり、Xの量が大きいほどその観測確率は低くなる。XとしてはBlogのリンク数やSNSのリンク数などがある。世の中の社会現象の多くはXが大きいごく少数のノードによって支配されるといわれる。

□なぜべき乗則は生まれるのか?
多くの社会現象でべき乗則が見られるが、それはどのように説明できるのだろうか?その多くは成長モデルで説明できるといわれる。
成長モデルではXの大きいノードの程更に大きなXを獲得しやすくなるモデルを指す。このモデルはバラバシ=アルバートによって解析され、有名となった。

□情報とコネクションは集約される
SNSのリンク数やはてなブックマーク数はべき乗則といわれている。SNSのリンク数がべき乗則ということは、恐らくリアルで接する人の数もべき乗則になると推測できる。

先ほどの成長モデルで考えるとリアルで接せる人の数が多い人は更にリアルで接する人が多くなる。つまり富めるものは富める原理である。そしてコネクションが多ければ情報はその人に集中する可能性が高くなる。つまり情報とコネクションは次第に集約される。その情報によって更に新たなコネクションを形成し、且つ今までのコネクションは深化していく。コネクションと情報という結びつきが循環的に起こっているのだ。

ここまで読んだ人なら、べき乗則の世界に従う現在において、コネクションがない人は、一生コネクションが少ないまま終わってしまう確率が高いように思えてしまうかもしれない。

□成長モデルから学ぶ戦略
ではコネクションが少ない人はどのようにしてコネクションを増やせばよいのだろうか?成長モデルは3つの戦略を教えてくれる。

[戦略1]人と接する機会を増やすこと
他人とコネクションできる確率をpとしよう。自分が有名人でもない限りpは人によらず一定だと考えられる。pを上昇させるにはスキルアップしたり知名度を上げたりと非常に困難が伴う。

pが一定という条件ならばコネクションを増やす有効な戦略は人に会う機会を積極的に増やすことだ。例えばオフ会に行ったり、勉強会や研修、あるいは飲み会に行く事である。べき乗側によるとコネクションが多い人ほどコネクションは増えやすくなる。ということは、この戦略はなるべく早く行ったほうが有効だ。

[戦略2]知名度を上げる
これは戦略1に比べて難しい。この戦略では他人が自分に対してコネクションをしたいと思わせる事を狙う。つまりpを上昇させる事に繋がる。

多くの場合pを挙げるには、ニッチな部分に特化して有名になる戦略が有効だろう。ニッチは学術的でも良いし、あるいはエリアでもよい。これは広範囲の分野で知名度を上げることは非常に難しい事だからである。ニッチになればなるほど、その分野で知名度を上げることは一般的には容易だ。

ニッチな分野について有名になれば、もちろんその分野でコネクションが広がる。しかしながら時間が経つと他の分野の知人からエキスパートとして紹介されるようになる。実はこの後半の部分が非常に重要である。コネクションという目から見るとニッチな部分よりも寧ろ他の分野から知られる事の方が有効である。ここまで行けば、コミュニティのハブとして機能する可能性が出てくる。

[戦略3]コネクションが多い人と知り合いになる
コネクションが多い人と繋がることは、多くの情報やコネクションが自分に対しても流通することを意味する。この戦略3はとても重要な戦略なのでできるだけ実践することを勧めたい。

コネクションの多い人はたいてい忙しい人だし、多くの人と会う機会がある。そのような環境の中でなんらかの自分の特徴やスキルを認知してもらう必要がある。そうしないと、自分のところに有効な情報が流れてこない。自分のことを認知してもらうには戦略2のように、人に負けないような得意な分野をつくり、定期的にアピールする事が有効だろう。

ハブとなる人とは長期的な関係になる場合が多い。SNSでコメントをしたり、Blogでトラックバックをしたりとお互いに信頼できる関係を築く事も大切だ。ハブとなる人と仲良くなるには単に名刺交換したり、メールを2,3通するだけではダメなのである。自分の特徴をアピールする事と信頼関係を作る事が重要なのだ。

□SNSとリアルのコネクション
SNSが生まれてからコネクション形成の戦略が変わりつつある。詳しくは次回に述べてみたいが一ついえることはSNSやBlogを有効に活用する事はコネクションを迅速に形成する有効な手段であることだ。なぜならSNSやBlogをうまく利用すれば、自然と戦略1から戦略3の全てを取る事になるからだ。

一つだけ言いたい事がある。人はそもそもリアルなコミュニケーションによって成り立つ存在である。バーチャルなコミュニケーションはコネクションを加速させる、あるいは創生することはできるが、リアルなコミュニケーションほど深化しない。バーチャルとリアルなコミュニケーションをうまく組み合わせる事が今後のハブとなる人間の特徴となるだろう。


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2007.05.07

[P2P]P2Pを応用した仮想世界の提案

□はじめに
仮想世界というと「セカンドライフ」を思い出す人が多いだろう。日本ではまだそれほどブレークしてはいないが、今後有名人が参加する事で多くの人がトライするきっかけになるかもしれない。「セカンドライフ」はクライアント=サーバ型モデルであるが、P2P型にした場合、仮想世界がどのように発展するのか考えてみよう。

□負荷分散という利点もあるが。。
クライアント=サーバ型からP2P型にした場合、一番のメリットは負荷分散であろう。大きなサーバや太い帯域の回線は必要ないので、結果的に事業者側のランニングコストは大きく下がる。しかしこれではP2Pのメリットを充分活かしてない。

□ユーザ数に応じて仮想世界が広がっていくというストーリーはどうだろう?
仮想世界に参加するときにユーザはP2Pソフトをインストールするとしよう。ユーザの参加者数が増えればP2Pソフトのインストール数が増え、それだけ仮想世界全体のシステム処理能力が向上するはずだ。この現象を使用してインストール数(あるいは処理能力)に応じて仮想空間が増加するというのはどうだろうか?例えば仮想世界で当初東京都だけあったものが、あるユーザ数が増えると神奈川県もエリアとして広がる、のようなものだ。すなわち、ユーザ数が増加すればするほど、仮想世界は広大になる。

仮想世界が興味深ければユーザ数は一定期間増加し、その結果ユーザは巨大な仮想世界を満喫することができる。そうすれば、口コミでユーザ数がまた増えるという好循環が生まれることが想定される。ユーザ数が増えれば全体の処理能力が増えるというP2Pならではの仮想世界のモデルだ。

□仮想統治という世界
ユーザ数が増えると仮想世界は広がるのだが、ユーザはPCの処理能力×処理時間に応じて、統治できる領土の広さあるいは仮想マネーが与えられるするのも面白いアイデアだろう。セカンドライフが仮想マネーを使うように、私が提案する仮想世界ではPCの処理能力×処理時間が領土の広さまたは仮想マネーの割り当てとなる。もちろん、仮想世界で独自のビジネスを立ち上げて仮想マネーを稼ぐ事も可能だ。処理時間というファクターを与える事により、多くのユーザが長時間P2Pネットワークに参加しやすくなる、。(インセンティブ効果)このことは仮想空間が(ネットワーク的に)安定して存在しやすくなることを意味し、事業者側にもメリットがある。

□ヘビーユーザならではの楽しみ「モジュール開発」
ヘビーユーザであれば、自分なりにカスタマイズをするのもよいだろう。ここではP2Pならではの楽しみ方法を提案してみよう。P2Pソフトウェアに自分の開発した(あるいは他人からもらった)追加モジュールをプラスする。すると、自分が得た領土では標準的な仮想世界以上のことができるようになる。例えばチャットやメールなどのコミュニケーションサービスである。開発者はこのモジュールを仮想マネーで他ユーザに販売も可能だ。事業者側は自ら開発しなくても新たなサービスが生まれる「エコシステム」によるメリットを享受する事が可能だ。

□事業者のビジネスモデル
事業者は広告モデル以外に分散処理をユーザに課することによって、ある一定の収益を得る事ができるかもしれない。いわゆるグリッドビジネスである。更にヘビーユーザが作った開発プロダクトに事業者の認証ライセンスを与えるというライセンスビジネスも可能だろう。

□終わりに
仮想世界でP2Pを使う事でクライアント=サーバ型では難しかった楽しみが広がってくると考えている。この考え方はMMORPGのようなオンラインゲームにも応用できるはずだ。P2Pを単に負荷分散のためのシステムと捉えるのではなく、さらにもう一歩考える事によって今までにないユニークなサービスが生まれる事を期待している。

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