[はてブ]ブックマーク数をべき乗則と考える理由
□はじめに
複雑ネットワークの研究が進み、べき乗則に対して関心が集まっている。色々な社会現象でべき乗則にしたがっていることが発見されているが、私は恐らくはてブのブックマーク数もべき乗則に従っていると考えている。今日はその理由を書いてみたい。
参考:
べき乗則:はてなダイアリー
□バラバシ=アルバートのネットワーク
複雑ネットワーク系で注目されている一つがバラバシ=アルバートネットワーク(BAネットワークと呼ぶ事にする)である。これは、リンクが多いノードほど、新たに参加するノードはリンクをしやすいと仮定してネットワークを作った例である。詳細は下記を参照。
http://f39.aaa.livedoor.jp/~hukuryu/barabasialbert.html
このBAネットワークのリンク数はべき乗則に従う事が知られている。
このネットワークモデルを見ると、あるリンクを持つ強者に対して、更リンクを強化するように外部作用が働くときに、リンク数がべき乗則に従うだろう、というアナロジーが頭に浮かぶ。(仮定1)
このような仮定が一般的に証明されるのは難しいと思われるが、BAネットワークのようにあるモデルを作れば個々には証明できるだろう。
□ブックマーク数が多いほどブックマークがされやすい理由
さて、はてブの話に戻そう。今、はてブのブックマーク数がべき乗則に従うという結論に導くには仮定1を使い、はてブのブックマーク数が多いほどブックマークがされやすい事を言えれば良い。
ところで、はてブには、記事がリリースされてブックマークする際のフェイズが3つあると考えられる。
□ブックマーク数が2以下のとき[フェーズ1]
このときにはタグサーチ等をしない限り、はてブユーザはブックマークに気づかない
□注目のエントリーに掲載される[フェーズ2]
注目フェーズに掲載され、ある程度のはてブユーザが目にする事ができる
□最近の人気エントリーに掲載される[フェーズ3]
一般にフェーズ2よりもトップページに滞留する時間が長い。フェーズ2よりもはてブユーザが目にする確率が高くなる
つまり、フェーズが大きくなるほどはてブユーザの目にさらされる時間が長くなり、そのため結果的にはブックマークされやすくなる事がわかる。
もう一つここで注意しないと行けないのが、フェーズ2にしろフェーズ3にしろ、ブックマーク数が多いという事実にがあれば、はてブユーザは記事を「読んでみたい」と思う事である。
その理由として
[心理状態1]ブックマーク数が多いから、この記事は面白そうだ。
[心理状態2]ブックマーク数が多いという事は、多くの人が記事読んでいる事。流行に乗り遅れないように読まないと。
とユーザが感じるのではないのかと私は分析する。特に心理状態2については、他人の行動や外的変化に敏感な人がなりやすい(特にイノベーターに多いと思われる)心理状態だろう。
結論として、最近の人気のエントリーの中にあっても、よりブックマーク数が多い記事ほどブックマークがされやすくなる可能性がある。
もちろん、はてブのトップページを見ずに、記事を直接読んで(RSSリーダーやブラウザのブックマーク等)はてブのブックマークをする人もいるが、数100ブックマークに達すには、やはりはてブの人気エントリーの表示効果がとても大きいと私は思う。
□終わりに
今回ははてブのブックマーク数がべき乗則に従っていると考える理由を説明した。BAネットワークを変形したはてブユーザの行動モデルを作れば、恐らく数学的にはべき乗則に従うことだろう。また理論だけでなく、実際にはてブブックマーク数がべき乗則に従うかどうかも測定する必要があるだろう。
注意しないといけないのは、仮に現在べき乗則に従っていたとしても、そのような自体が今後も続くかという事である。現在のはてブのユーザ層(イノベーターやアーリーアダプタ)からメインユーザ層がアーリマジョリティにシフトしてもべき乗則になるのか、私はとても興味がある。恐らく行動モデルに変形が加えられ、べき乗則から外れていくのではないかと私は推測している。
*追記:はてブ開始当初はべき乗則に従っていたようです。
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