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2006.05.07

[Winny]ダミーノードによるWinny情報漏洩対策効果の計算方法の提案

Antinnyによる情報漏洩の対策をWinnyネットワークを用いて行う方法は何種類かある。

大きく分けると
[1]ハッシュ値によるフィルタリング
→ボランティアユーザあるいはダミーノードによりハッシュ値のフィルタリングを行う。
[2]ブラックホールノードを上流ノードに配置し、ハッシュ値を拡散させない
→上流ノードにブラックホールノードと呼ばれるノードを設置し、キーの拡散をブロックする
参考:
Winny開発者にできること、できないこと3/3

の2つが考えられる。[2]は[1]を効果的に行う方法の一つと考えてよいだろう。

さて、実はこの2つの方法はかなりの協力ノード(これをダミーノードと呼ぶことにしよう)が存在しないと、ほとんど効果がないことを示したいと思う。おそらく、この手の効果測定は他の人は行ってないと思う。

キーの拡散は主に上流ノードで行われていることに注目する。
Winnyのノードは一般に2つの上流ノードと接続することに気をつける。

今、上流ノード間で4つずつリンクをしていると考えよう。リンクの方向性は今は気にしない。
上流ノードは簡単のために正方格子に並んでいて、隣接ノードとリンクしている。数学的にいうとZ^2の世界である。

さて今、ダミーノードを確率Pの割合で混入していく。このときPがいくら以上であれば、Winnyネットワークを分断できるだろうか?

実はこの手の計算は既に物性物理で盛んに行われている。その手法とは「パーコレーション」と呼ぶ。今回の方法は特にサイトパーコレーションと呼ぶ。

参考:パーコレーション:
http://www.mi.ics.saitama-u.ac.jp/~yas/research/network/percolation/

http://www.iba.k.u-tokyo.ac.jp/~yabuki/tip/swarm/percolation/percolation.html

では一体どのくらいダミーノードがあればWinnyネットワークは分断できるのか?答えはP=0.4以上、つまり4割以上がダミーノードである必要がある!これはとても大変な作業である。

もちろん今回の場合はリンク数、キー及び検索クエリの拡散の限界ホップ数等をあまり考慮していない。しかし、今回の計算でも明らかなようにダミーノードによるWinny情報漏えい対策は相当協力者やノード(あるいはリンク)数が必要であることがわかるだろう。

ちなみに前回のエントリーであるDHTはスモールワールドか?や今回のエントリーは増田直紀 他著「複雑ネットワークの科学」を参考にしている。数式を交えた簡潔な本なので、複雑系ネットワーク、P2Pネットワーク理論に興味のある方は是非とも読んでほしい。

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コメント

反拡さま:

コメントありがとうございます。
>P2Pネットワークの情報伝播の中和も何かもっと簡単な方法でできませんですかね。繋がり方が単純だからこそ、。。。

実はP2Pネットワークのリンクは単純ではありません。というのは、一つのノードがダウンしてもリンクが消えないようにリンクを形成するからです。このようなP2P特有の性質のため、情報漏えいを防ぐのは難しいのです。

投稿: Tomo | 2006.05.07 23:22

P2Pネットワークの情報伝播の中和も何かもっと簡単な方法でできませんですかね。繋がり方が単純だからこそ、逆手にとって漏洩をとめたりするようなエレガントな方法思い出してみたいものです。ソフトで細工して削除を可能にしたりするような限定的で乱暴な方法ではなく。ネットワークそのものの性質にもう少し踏み込みたいですね。でも消されたくない情報まで消されちゃかなわないので。本でも買って勉強しなくては。。4割もダミーなら死んでるネットワークですな。

投稿: 反拡 | 2006.05.07 22:23

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