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2006年1月の7件の投稿

2006.01.22

[P2P][DHT]Pastry入門~その1

今回から数回に渡りDHTでとても有名な方法である「Pastry」について紹介します。
なるべく分かりやすく書くために、部分的には不適切な記述があるかもしれません。そのため、詳細については原論文を見ると良いでしょう。

原論文
Pastry:Scalable,decentralized lbject location and routing for large-scale peer-to-peer systems
http://research.microsoft.com/~antr/PAST/pastry.pdf

Pastryと何か?

PastryはChordやKademliaと並んで著名なDHTシステムです。
ChordがSkiplistと呼ばれるショートカット的なアプローチをするのに対してPastryはPlaxtonアルゴリズムを使って特定のノードへすばやく到達できるように工夫しています。なおTapestryもPlaxtonアルゴリズムを使っているのでPastryをチェックした後にTapestryの論文を読むと理解が深まるでしょう。

Pastryを使ってPAST(分散ストレージ)等のアプリケーションが考えられています。詳細は下記のページをご覧下さい。
http://research.microsoft.com/~antr/Pastry/default.htm

Pastryのノード検索の仕方

DHTで一番重要なのはノードの検索の方法です。どのような方法なのか、ざっくり書いてみます。
ルーティングテーブル等の詳細は後日紹介します。

Pastryでは2のN乗でルーティングテーブルを構築し検索を行います。しかし、これだと分かりにくいので、とりあえず10進法にして「イメージ」を掴んで下さい。

今、ID_A=19325というノードがあります。これがID_Z=233521と通信するにはどうすればよいのでしょうか?

Plaxtonアルゴリズムはとてもユニークな方法でこの通信を可能にします。

まずID_A=193245は自分の知っているノードでID=2xxxxxと言うノードを探します。(xは任意の数字)つまり、ID_Aのノードの中でID_Zの「一番上の数字」が同じノードを探すのです。
今、ID_AがID_B1=282539を知っていたとします。すると今度はID_B1がID=23xxxxとなるノードを探す事になります。
これは、ID_Zで「一番上と2番目が同じ数字」のノードを探す事になります。

つまり、
(1回目の検索)ID_B1=2xxxxx (例えば214256)
(2回目の検索)ID_B2=23xxxx  (例えば234623)
(3回目の検索)ID_B3=233xxx  (例えば233901)
(4回目の検索)ID_B4=2335xx  (例えば233591)
(5回目の検索)ID_B5=23352x  (例えば233527)
(6回目の検索)ID_B6=233521=ID_Z
ということで、IDの桁数と同じ数で検索が可能でした。ですから、Pastryも大体Log(N)のオーダーで検索が可能である事が分かります。

しかしながら、今回のように6回でうまく検索できるとは限りません。Pastryは色々な工夫をしていて、できるだけ早く目的のノードへ到達しようと努力します。

ざっくりとルーティングの方法を書くと
(STEP1)目的のノードのIDに近づくようにIDの数字を上記方法で近づけていく。
(STEP2)ある程度目的ノードに近づいたら、自分の近くのノードの場所を記憶している表(これをLeaf setと呼ぶ)を使って、目的ノードに近いノードへジャンプする。

の2種類でどんどん目的ノードへ近づくことになります。

次回はルーティングテーブル等を実際見ながら、どのような方法でルーティングが行われているか見てみましょう。

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2006.01.21

[P2P]P2P新年会無事終了!

昨日(1/20[金])東京オペラシティでP2P新年会が盛大に行われました。
最終的には30人を超える人が参加して盛り上がりました。
Mixi-P2P新年会トピック
http://mixi.jp/view_event.pl?id=3318592

久しく会ってない方も何人も居たので、近況等を話し合っていたり、またP2Pのコアな話もしました。

実を言うと開始時間の7時ちょっと過ぎまでほとんど人が集まらなかったので、「まずい、キャンセル者続出で主催者は大赤字覚悟か?」とブルブルモードでしたが、その後続々と参加者が会場に来て頂きとてもほっとしました。

2次会は、当初の予定では10人ぐらい参加かと思ったのですが、ふたを開けると20人ぐらいの方が参加希望でした。
とりあえず近くのおいしい中華料理屋さんに行ったのですが、残念ながら15人ぐらいしか入れないとの事。

仕方がないので、そのほとんどが一旦東京オペラシティに戻ってファミレス(CASA)でケーキセット+ドリンクバーでまったりとしていました。
夜9時半のファミレスに男性16人がどかっとテーブル1列を占拠するのは、なかなか豪快な眺めでした。(笑)

個人的には2次会の方がコアな話ができて楽しかったです。
(1次会は参加費の集計や司会進行をしないといけなかったのでなかなかゆっくりと話せなかったので。)
P2Pの将来ビジョンや現在のゲームにおけるP2P通信の工夫の仕方など、とても貴重な情報でした。

次回のP2P勉強会は9月ごろ某山手線エリアの大学で行いたいと思います。こちらも是非参加して下さい!

またスタッフの方、手伝って頂きありがとうございました。とても感謝しています。

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2006.01.20

[P2P]P2P(DHT)ソフト開発+シミュレーションが簡単にできるミドルウェア「Overlay Weaver」誕生!

今年は1月からP2P業界にとってビッグニュースです!
その前にP2Pについてちょっとした話を。

P2Pといえば、昔はGnutellaのようなUnstructure-P2Pソフトしかありませんでしたが、最近ではDHTと呼ばれる Structure-P2Pの研究が流行しています。私のBlogやHPでもStructure-P2Pのトピックを盛ん
に取り上げています。

ではUnStructure-P2PとStructure-P2Pの違いとは?というと、UnStructure-P2Pは構造が単純化しているためソフトが作りやすい反面、期待していた検索結果はうまく帰ってこない等のデメリットがあります。

Structure-P2Pはこのデメリットは解消しているのですが、その反面実装がとても複雑でソフトが作りにくいことがデメリットとして挙げられます。

そこで登場したのが簡単にDHTソフト(つまりStructure-P2Pアプリケーション)が開発できるキットです。というよりも寧ろP2Pミドルウェア+開発キットといえばよいでしょうか。その名は「Overlay Weaver」!!

産総研の首藤さんたちが開発したもので、今週リリースされたばかりです。

開発する人はDHTのことは気にせず、提供されているAPIを使えば簡単に
P2Pソフトができます。これを応用すればP2P-VoIPやIM、VPNが簡単に作成できるでしょう。
またDHTとして開発者はChordやPastry,Kademlia等を指定して実行できます。つまりどのDHTがそのソフトに最適か検討することができるのです。これはスゴイですね~。またDHTのアルゴリズムの追加も簡単に実装できるような仕組みを用意しているようです。

もうひとつこのソフトがすごいのは、1台で数1000ノードのP2P動作シミュレーションが可能なこと。さらに複数ノードでのシミュレーションも可能です。さらにどのノードがどのノードとリンクしているか簡単に図示することが可能です。公式ページにはその様子がスクリーンショットとして掲載されています。

今年はこのミドルウェアでP2Pソフトを作るという動きがホットトピックとして挙げれそうです。あるコミュニティではこのミドルウェアを使ったDHTソフトのコンテストを実施しよう!と考えているようです。面白いですね~

SkypeもA2Aを使ってP2Pソフトを作れますが、利用に制限があります。(例えばコンタクトリストに居る人としか通信できない等)
このミドルウェアは利用制限がないので、いろんなソフトができそうですね。また日本発のミドルウェアなので、ミドルウェア開発者からユーザへのフィードバックが早いことも期待できます。

詳しくはこちら。
オーバレイ構築ツールキット Overlay Weaver
http://overlayweaver.sf.net/index-j.html

後でより詳細なレビューを書くつもりです。

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2006.01.15

[Mixi]プライベートな日記はMixiに書きます

今までTomo's Hotlineでヴァイオリンやグルメなどのプライベートな事も書いてきましたが、今後は全てMixiの日記に書きます。
プライベートな日記はほぼ毎日Mixiに書いてありますので、詳細はMixiの日記をご覧下さい。

私の日記は現在全員に公開しています。私の日記への辿り方ですが、「DHT(分散ハッシュテーブル)」コミュニティの管理人ですので、そこから私のページに行けば日記が見えると思います。

Mixiへ招待して欲しい方は私までメールして下さい。
ただしP2P界隈等に限定させて頂きます。

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2006.01.11

[P2P]SkypeInのセミナー

2/3(金)にSkype社の岩田さんやVincentさんが出席するセミナーがあります。
私も参加する予定です。講演概要から見ると番号問題の話やFusionの人の講演もあってかなりイイ感じです。
ただし、参加費用は1名\49,800-ですが。。。

日 時:平成18年2月3日 (金) 10時00分~16時35分
会 場:アイビーホール 青学会館(青山学院大学横)

マルチメディア推進フォーラム
「インターネット転送の実現に向けたボイスサービス最前線」
http://www.ahri.co.jp/business/seminar/information/060203.html

以下、講演概要抜粋を上記サイトから引用:

「我が国の電気通信番号の現状」

* 電気通信番号の現状
* 番号研究会における検討状況
-FMCの電気通信番号-
-インターネット電話への転送-
* その他(MNP、ENUM)

総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 電気通信技術システム課 番号企画室長 門馬 弘氏

「普及拡大するSkypeのサービス」

* Skypeが切り開くP2Pサービスの現状
* Skypeのサービス変遷
* 諸外国におけるサービス状況
* Skypeが進める更なるサービス戦略
-新サービス-
-エンタープライズユース-
-家電、セルラー、その他機器へのエンベデッド-
* Skypeのエコシステム
-Skype Public API の無償公開によるパートナー戦略-
-Skype Certification Program-
* 単なる音声アプリケーションではないSkype
-プロジェクトツール-
-ビジネスアプリケーション連携-
-Webとの統合-
-プラットフォームの開放と今後-

Skype Technologies S.A. 日本ビジネス開発部長 Vincent Shortino 氏
Skype Technologies S.A. Developer Relations 岩田 真一氏

「フュージョンのskypeとの融合戦略」

* 日本で開始された、skype inサービスとは
* 一般着信をインターネット転送する上での仕組み
* インターネット伝送するための様々な課題と解決方法
* 既存VoIPサービスとのミックスアンドマッチによる新たな顧客獲得戦略

フュージョン・コミュニケーションズ㈱ IP商品開発部 担当課長 鶴田 光則氏

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2006.01.08

[P2P]Pastry(DHT)の解説を連載します

近日中にPastryの説明を始めたいと思います。そして連載が終わり次第HPもPastryについて更新する予定です。
Pastry連載途中でDHTショートクイズの1,2番目の回答についても触れると思います。

ちなみにココログが重くなって、とてもストレスが溜まるっているので、gooブログか「はてな」にBlogを移動しようと思っています。どちらがいいかな?

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2006.01.07

[P2P]情報共有(P2P)研究会

日本情報処理開発協会主催で情報共有(P2P)研究会を行うとのことです。
1/13(金)の夜開催でしかも無料(100人収容)です。
お時間のある方は是非。私も参加予定です。

以下、JXTAのMLに流れた案内文から引用:

===

情報共有(P2P)研究会

会 費:無料(社会人、学生を問わず)
日  時:2006年1月13日(金) 18:00~20:00
会  場:機械振興会館 東京都港区芝公園3-5-8
http://www.jspmi.or.jp/map/mapright.htm
内  容:
Javaで著名な丸山先生によるコミュニケーション論やP2Pへの期待について、独自の考察を交えながらお話しして頂ける予定です。
また、最新のP2Pの技術動向を、P2Pの最先端の研究をされている産業技術総合研究所グリッド研究センターの著名な研究者である首藤一幸氏が、基礎知識から、P2Pなネットワーク形態を概観し、最新技術動向と今後の可能性までをわかりやすく解説して頂ける予定です。

稚内北星学園大学
学長 丸山不二夫 氏
「情報の共有とコミュニケーション」
- ネットワーク技術の与えた影響とこれからのP2Pへの期待 -

産業技術総合研究所 グリッド研究センター
首藤 一幸 氏
「unstructured overlay と structured overlay」
- 基礎知識からP2Pなネットワーク形態と研究・応用の両面から論じます -

お申込み方法:
P2P@rd.jipdec.jpまでメールにて申込みをお願いします。

お問い合わせ:(財)日本情報処理開発協会開発部業務課
e-mail:P2P at rd.jipdec.jp

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