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2004.08.08

[放送と通信の融合]サーバ蓄積型放送の現状

著作権やコンテンツに関心があることから「放送と通信の融合」についてはいろいろとウォッチをしてセミナーなどに参加しているのだが、最近サーバ蓄積型放送というのが注目されているのが面白い。現在、どのような状況であるか簡単にまとめてみる。

まず、サーバ蓄積型放送とは何か?ということであるが、一言で言うと、TV局の放送をユーザのある専用機器で蓄積しておいて、好きな時に見る事が出来るシステムである。そうなると、HDDレコーダーと何が違うの?と言う議論が出てくるが、それは後述しよう。

ちなみに、サーバ蓄積型放送について知りたい方はここも参考にして下さい。
サーバ型放送と合意形成

さて早速概要と課題点などを述べてみよう。

1)現在、TV放送ではHDDレコーダーによる視聴が増えている。この結果、視聴の形態が大幅に変化している。放送は(原則的に)CMで成り立っているので、この視聴の変化に伴い、(擬似的に)いつでもテレビを見る事ができるサーバ蓄積型放送は魅力的であるとTV局側も考えている。とは言え、地上波放送がサーバ型蓄積放送に食われて、地上波のCM産業が成り立たなくなるのではと、TV局の営業側では心配しているようだ。

2)ご存知かもしれないが、昔蓄積型放送として[ep]というのがあった。今回は同じ轍を踏まないように、視聴環境は専用機というよりも、基本的に全てのHDDレコーダーに、データ蓄積型放送の録画専用領域を設けることによって普及を図る狙いがある。

3)HDDレコーダーだとCMスキップができる。サーバ蓄積型放送でこれをやられると広告代理店はたまったものではない。そこでCMスキップができない機能にしたいと強く要求しているらしい。

4)(上記に関して)とはいえ、CMも著作物であり、ある一定期間経つと契約時の取り決めからBGMとかが使えなくなるらしい。ということで、ある一定期間が経つと(特定の)CMが強制的にスキップできるような機能があればいいな、と考えているようだ。

5)またCMの話題となるが、個人情報を専用機器に登録すると、その個人情報によってCMが変わる事ができるようにしたいと考えているようだ。例えば、子供だったらお菓子のCM,大人だったら車の広告のように。ただし、CMと番組のライセンス形態から、いろいろと課題はあるようだ。ちなみに個人情報をどのようにして判別するかということだが、例えば、携帯電話のリモコン機能を使って、リモコンを使うときに同時に個人情報を送信するのはどうでしょうか?(家電メーカー様等のコメントお待ちしております!)

6)(上記に関連するが)現在、地上波デジタル放送はB-CASと呼ばれる機器に対する著作権管理をしている。サーバ蓄積型放送になると「個人」での利用の差が明確になるため、新たな著作権管理システム(高機能CASと一般的に呼ばれる)が必要であろうということでTV局側は一致している。

7)サーバ蓄積型放送についてはメタデータというのを送信するのが最大のウリである。メタデータとは番組についての付加情報の総称である。例えば、野球放送を見ている時に、松井のホームランシーンだけを見る事も可能である。メタデータの配信については有料になるかもしれないし、もしかしたら通信路でおこなうかもしれない。通信路で行うとすれば、通信業者にも旨みがでてくる。

また、メタデータを個人で作ることも可能だ。例えば、音楽番組で「俺流ハイライトシーン」を友達に配送することもできる。とはいえ、何でもかんでもメタデータが流れるは放送局側も嫌がるので、メタデータを正式なルートできているか判別することをしたいようだ。(おそらく電子署名で検知すると思われる。)

8)VOD(ビデオ オン デマンド)についても行いたいと考えているようだ。そうなるとコンテンツ配信には通信路を使う事が基本的になるだろう。課金・決裁についても通信路を使う事になるだろう。

9)携帯電話についてもサーバ型蓄積放送をしたいようだ。とはいえ、携帯だと電波受信の面で不安があるので、自分の家にクレードルを置いて、それに接続すると、携帯にコンテンツが転送するようにしたいようだ。

ざっと概要を述べてみた。コンテンツをサーバに蓄積するということで、HDDレコーダーと差別戦略をしないといけないのだが、その差別化点としては大きく2つあることがわかる。

1:CMがスキップできないこと。CMが個人情報によってチェンジできること。これにより広告業界から強いサポートを得られる。
2:メタデータの配信によりハイライトシーンだけの閲覧など付加機能が加わること。

特にメタデータというのは放送に限らずWEBなどにも注目を浴びている分野なので、この辺りと上手く技術提携すると、ブレークするかもしれない。

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