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2004年5月の24件の投稿

2004.05.31

[P2P]P2PとNATその2

先日、P2PとNATについてのBlogに書いたところ、いろいろな所からリンクを頂いた。Skypeなどによって、P2PにおけるNAT通過技術がますます注目されている。

今日はP2PとNATを書かれている雑誌を紹介したい。
SoftwareDesign 2004年6月号 オープンソースでキメるSIP環境 SIPとNATの共存 100p~109p
上記の通り、SIPの話だが、NAT越え特にSTUNとB2BUAについてよく書かれているので、興味のある方はご覧頂きたい。記事ではSTUNサーバの作成の仕方が載っている。また、B2BUAにおける構築方法は次のURLに載っているようだ。(ユーザ登録が必要)
SIP Wiki

同じドメインにNATのちょっとした解説がある。
NAT問題

STUNの解説は下記のとおり
SIPとNAT

STUNではSymmetric NATはNAT越えできないが、B2BUAはこれが解決できる。

B2BUAについての解説は下記の通り。
B2BUA: Enabling Class 5 Capabilities in SIP Designs

SIPとB2BUAについてもうちょっと勉強しようと思う。SIPはMSNのインスタントメッセンジャーでも使われているので、いずれ全てのP2PアプリはSIPによって通信を制御することになるかもしれない。

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2004.05.29

[P2P]P2P掲示板に思う事

2chに代表される大規模な掲示板ではどうしても大規模なネットワークとサーバが必要となる。また、管理人等の判断により掲示板が閉鎖される可能性がある。2ちゃんねらーであれば、「掲示板閉鎖」事件を思い出す事だろう。

このように、サーバ=クライアント型の掲示板モデルというのは2ch程度のユーザを抱える事になると破綻する事になるのでは?と私は危惧している。これは今に始まった問題ではない。サーバ=クライアントモデルはユーザに対して有料で掲示板サービスを行うのであれば、継続することができるが、ブロードバンドユーザの数分の1程度のユーザが無料で(といっても広告モデルではあるが)掲示板システムを使うのであれば、非常に危ういモデルである。誰がサーバ増設、ネットワークリソースの費用を捻出することができのだろうか?そして莫大なスレッドに関するメンテナンスを誰ができるのだろうか?(本当に今後広告モデルだけで補うことができるだろうか?ただし、ユーザが増える事により、広告料金を上げてこのビジネスモデルを継続すると言う考え方もある。)

現在ではP2P型掲示板が認知されつつある。Winny、新月、Alpha....そして、今後はスケラビリティーが極めて良い分散ハッシュによる掲示板が生まれる事が期待できる。分散ハッシュを使う事により、次の課題は解決できる。

1)ネットワーク負荷の分散
・スレッドは各ユーザに分散される。そのため、ネットワーク負荷は分散される。ただし、ユーザの回線帯域による影響はある。

2)ストレージの大容量化
・各ユーザがストレージを仮想的に共用することにより、テラバイト、いやペタバイトのストレージが確保できる。これによりストレージに対する問題は当面の間出てこないだろう。

3)CPU、メモリリソースの分散
・1)と同様。現在のPCはpentiumⅣ 1GHz、1GBメモリが主流となりつつあるから、数10万規模のユーザが参加すれば大型なサーバを数10台入れるよりも処理スピードはあまり変わらないだろう。

4)イニシャルコストの低廉化
・1)、2)、3)によりイニシャルコストは分散ハッシュ及びそれに載るP2P掲示板アプリの開発費だけになる。ハード面の心配はいらない。

5)匿名性の確保
・HPにも書いてあるが、分散ハッシュで検索する際のノードをプロキシとすれば匿名性はある程度確保できる。

6)継続性
・全てのノードがネットワークから離脱しない限り掲示板システムは運用される。

7)完全性の確保
・電子署名をする事により、レス、スレッドの改ざんはされない。また、レス、スレッドは複数のノードに分散しているので、複数の特定ユーザの協調がない限り完全に消去することはできない。

8)書き込み身元の保証
・電子署名を使う事により、書き込みの身元を判断することができる。各ノードの公開鍵は鍵のハッシュに応じて分散して存在している。

上記1~8により、2chと同等のサービスは「技術的」には確保できそうだ。

最後の問題は「メンテナンス」だ。これはスレッドなどの書き込み等のチェックである。レスを削除したり、あるいは警察に報告する事が考えられる。ただし、これは5)の匿名性との絡みをきちんと整理しなければならない。

先日のBlogでは匿名性と、それと相反するが複数の「中立な」ユーザの協力の基に匿名性が失われる方法や、一定の手順を踏むとレスが削除できる方法を考案した。
匿名システムにおける局小的非匿名システムの提案

ユーザ全員が管理者の権限を一部負担することになり、それによって「自主的に」掲示板を運営する事になる。もはやスーパーユーザ的な立場はいなくなる。(これはあくまでも技術的な側面。実際には掲示板は人間の作る世界だからスーパーユーザ的な人間は自ずとでてきて、彼らによってモラルやマナーが決められる事になるだろう。あるいはこのソフトの作者がモラルの遵守規定を決める事になるだろう。)

匿名性の方向性は開発者にとって大きな問題だろう。言論の自由をあくまでも確保するのか、それとも秩序のある世界を掲示板に確保するのか?それによって設計思想は大きく変わるはずだ。
私の予想では、完全な匿名性な掲示板システムではなく、基本的な匿名性は確保しながらも警察の要請があれば書き込み者が判別できる、そのようなシステムが今後広まるだろう。なぜならば、ルーズとはいえ、ある程度の秩序ある世界を一般のユーザは求めているのだから。

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海外旅行の懸賞

私は懸賞に応募するのが好きで、週末に時間が空くとよくWEBで懸賞サイトを見ている。
懸賞はなかなか当たらないのだが、応募をしているだけでなぜだがわくわくするので未だに止められない。まあ、お金もかからないのでいいのかなと思っている。最近は発泡酒を1ケース当てて、友人などにお裾分けしていた。

ところで、最近の懸賞もなかなか面白いのが増えてきた。以前だと1000万円当たるなどの高額商品が流行ったのだが、近頃はユニークな物やインパクトが強い物が考えられていて、他社の懸賞企画と差別化を図ってる。

私がこれは凄いなと思ったのが次の企画
1泊3日!!100万円!!炎のラスベガスツアーが当たる!!
おい、アメリカ往復を1泊3日かよ。(笑)もっともスポンサーがリゲインと言う事で納得する。

またも海外旅行ネタでリッチな懸賞はこれ。
アテネオリンピック:全日程まるごと18泊20日応援ツアー
さすがにトヨタ、太っ腹だ。しかし、こんな日程で応募できる人は相当限られてしまうのではないだろうか?

懸賞サイトを見ると、たまに???というプレゼントがある。これも懸賞サイトを見ると醍醐味である。
杉の丸太プレゼント

今年こそは海外旅行を当ててみたいものだ。


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2004.05.27

[GRID]メルセンヌ素数

スーパーコンピュータやグリッドのニュースに良く出る話題として大きな素数を計算する事が挙げられる。こんな大きな素数をどうやってサーチするんだろう?と思う人も多いはずだ。

さて、大きな素数を求める場合、そのターゲットとなる数のあたりをつけるためにメルセンス素数を使う場合がある。
メルセンヌ素数とは次のことを言う。

ある素数nについてメルセンヌ素数Mn=2n-1

nが合成数の場合、Mnは合成数であることが証明されている。そのため、nが素数の時、Mnが本当に素数かどうかをチェックする必要がある。提唱したメルセンヌはnが素数の時は必ずMnも素数だと考えていたが、それは間違っている事がわかっている。

ところで、Mnが素数かどうか判断するには、一般的な数の素数を判定するよりもずっと簡単に計算することがわかっている。これがリュカ=テストと呼ばれるものである。そのため大きな数の素数を見つけるためにメルセンヌ素数を利用しているのだ。
リュカ=テスト

今最大の素数は630万桁以上であるが、それはメルセンヌ素数である。また、それはGRIDを使って求められている。
史上最大のメルセンヌ素数、分散コンピューティングプロジェクトで発見

メルセンヌ素数のような素数になりうる候補の数へのアプローチを考えてみるのも面白いだろう。

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2004.05.24

東京都現代美術館

日曜日は東京都現代美術館に行って見た。目的は久しぶりに美術館に行きたくなったと言う事と、もう一つはここの会議室が格安で借りられるので、P2P勉強会の会場にしたいと思ったからだ。
東京都現代美術館

東京都美術館は木場公園の中にある。木場公園は良く整備された公園で広い芝生で子供達がはしゃぎまわったり、ジョギングをする姿が見られた。木場公園は道によって2つに分割されているが、その道の上を大きな陸橋がかかり、自由に公園を行き来することができる。

さて、美術館で面白かったのは企画展で日本の近代・現代美術の歴史について特集している点だ。切手や美術の教科書に載っているような名画が多く、行ってよかったなぁと思った。
再考:近代の日本絵画
この企画展で面白いのは、最初のスペースで近代の画家の自画像がずらーと並んでいるところ。圧巻でした。

ちなみに、貸し出し施設の利用は以下の通り。激安!
貸し出し施設の案内
どうも、どのような内容の講演をするのかチェックされるらしいのだが、P2Pと書くとまた色々言われるのが面倒ということで、「オーバレイネットワークの現状と未来について」とか書いておこうと思う。

なお、P2P勉強会ですが9月上旬~中旬で調整中です。9月から借りられる施設は6/1受付開始のところが多いので、6/1は電話予約で忙しそうです。場所を提供して頂く方も引き続き募集中です。

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2004.05.22

[GRID]ナビエ=ストークス方程式

小さい頃、天気をどうして予報できるのか不思議に思っていた。気温や気圧をいろいろな場所で測定していることはわかっているのだが、どうしてその動きを予想できるのかさっぱりわからなかった。ただわかっていたのはスーパーコンピュータで計算していると言う事だけだった。

大学に入って、その理論根拠としてナビエ=ストークス方程式があることを知った。おそらく、ナビエ=ストークス方程式は理学というよりもむしろ工学に使われる事が多い重要な方程式ではないだろうか?ナビエ=ストークス方程式とは流体の流れを計算するものであり、偏微分方程式である。
ナビエ=ストークス方程式とは?

ナビエ=ストークス方程式は天気予報だけでなく、車や航空機の設計、海流運動の解明、はたまた宇宙空間のガスの流れまでシミュレーションすることができる。
気象シミュレータ
数値予報
宇宙現象のコンピュータシミュレーション

ところで、ナビエ=ストークス方程式は一般解はないのだろうか?実はこれはまだわかってない。ただ、ナビエ=ストークス方程式には非線形な項があるため、その部分が問題を困難にしている。

さて、天気予報の話に戻ろう。天気予報では、日本全国をメッシュに区切り、測定情報を基に数値シミュレーションを行う。ところで、このメッシュが小さければ小さいほどシミュレーション結果は良くなるが、逆に計算量は膨大になる。ナビエ=ストークス方程式が非線形なため、小さな挙動でも解全体に大きな影響を及ぼす。そのためメッシュを大きくするとその精度は大きく悪くなる事は推定できるだろう。現在の天気予想では、メッシュの大きさは20Km四方である。
気象シミュレーション

そこで、家庭にあるコンピュータでGRIDにして1Km四方のメッシュで計算できることになれば、シミュレーション精度は大きく向上できるだけでなく、ピンポイントの予想もできることになるだろう。これなら、多くの人がGRIDに協力することができるかもしれない。

天気予報だけでなく、ナビエ=ストークス方程式ではある空間の乱流や航空機の翼の設計などスーパーコンピュータが必要なところはまだまだ多い。そのような会社では一般の多数のオフィス用PCにグリッドソフトを入れる事で初期費用を少なくしてシミュレーションを行う事が一般的になるだろう。


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2004.05.21

[P2P]最近の大学レポート

大学のレポート作成なんてもう随分前の話になる。当時はTeXを使ってレポートを書いたり、Mathematicaを使ってグラフを書いたものだ。

ところで、HPやBlogにおいてアクセス解析をしているのだが、そこを辿ると面白いページがあった。
大学の課題(P2P)
「課題6」はP2Pとクライアント=サーバモデルの違いについてレポートするもの。面白いレポートになりそうだ。

さて、今回はP2Pのレポートがあるから取り上げただけではなく、Wikiを使ってレポートをみんなで取り組むというのが面白いで紹介しました。先ほどのHPのURLを見て頂くとわかるように某大学のものである。あいからわずこの大学はユニークな取り組みをしますね。今後はWikiを使ってグループで課題を取り組むなんてことが増えると思います。昔は図書館や空き教室に集まってグループ課題を解いたものですが随分時代が変わったものです。(笑)
研究室でWikiを使った情報共有をしている人は多いですが、授業の一環としてWikiを使っているところはあまりないと思いました。

※AlphaみたいなP2PベースのWikiが将来情報共有のメインになって、授業の課題などもそういうWikiでまとめる時代が来るかもしれないですね。

もしこのレポートに取り組んでいる人が見ていればの話ですが、是非レポートでは分散ハッシュについてもチャレンジして欲しいと思います。今までPure-P2Pではできなかった事が容易にできるので、それについて考察したら担当教官の印象も良いのでは?と思います。レポートの最終結果を期待しています♪

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2004.05.20

[P2P]P2P勉強会の進捗状況:その後

P2P勉強会ですが、P2P匿名掲示板で有名な「新月」の作者の方とP2Pコラボレーションアプリを開発されているアリエルネットワーク社の方の講演が追加されることになりました。(予定です)
ありがとうございます!!(※後で別途日時等について調整・連絡させて頂きます。)

P2Pというと、どうしてもP2P=違法、P2P=ファイル共有と言うイメージが強いだけに、なんとかこの勉強会でそのイメージを変える事ができれば、と思っています。そしてP2Pの技術を情報共有することで、「日本発」の新しい技術やビジネスモデルが生まれる事を期待しています、というか作りましょう!!

P2P、特にGRID、Jxta、SOBA、m2m、電子権利取引関連の講演者を引き続き募集しております。よろしくお願い致します♪

※それにしても場所を確保するのは大変です。3ヶ月前に予約しないといけない場合が多いので、9月になるかもしれません。。。。今月末は講演場所の調整で忙しくなりそうです。

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2004.05.18

[P2P]P2P勉強会の進捗状況

先日からお伝えしていますP2P勉強会ですが、現在講師陣は以下の通りになっています。
ただし、日程がまだFIXしてないので、変更の恐れがあります。また、匿名の講演者の方もいらっしゃるので、とりあえずは現段階では名前は伏せておきます。

講演者:講演内容

横田氏:P2Pの最近の動向について

Tomo:分散ハッシュ&セキュリティの解説

A氏:NetLeaderおよびWindowsのDRMに関するトピック

B氏:P2Pのトラフィックに関する話題

C氏:NAT越えに技術に対するトピック

現在のところ講演を快諾して頂ける方は以上です。引き続き講演者を募集しています。

講演会場ですが、新宿文化センターを狙っています。ただし、人気が高いので別の場所になる可能性があります。いずれにせよ都内の予定です。場所を提供して頂く方、ご連絡をお待ちしております♪

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2004.05.17

[P2P]コンテンツ情報管理の重要性とP2P用DRM

ちょっと話題としては遅いがWinnyに関するウィルスで情報が漏洩する問題が露呈している。さて、ファイル共有だけでなく、うっかりメールで重要書類を他社に流してしまうなど機密情報は思わぬところで漏れてしまう。今後はコンテンツの情報管理はますます重要となるだろう。

さて、今回はコンテンツのDRMも関係あるコンテンツの使用等に制限をつける技術を紹介しようと思う。
それがマイクロソフトが提案しているRMS、IRMだ。
RMSとIRMが実現する情報保護ソリューション

RMS、IRMを使うとどういう事ができるのだろうか?例を挙げておく。
・メールが一定期間内しか読めない
・メールのコピーやその印刷の制限
・権限の無いものの文書閲覧の禁止
・改ざんの禁止

このように、RMSやIRMを使うと例えコンテンツ自体が流出してもその内容が外部の人にはさっぱりわからないことも可能である。Winnyなどで情報が流出すると削除できなく不特定多数に知られる事例もあるので、機密情報を扱う部門は是非このようなソリューションを検討すべきだ。
RMSは以前紹介した情報権利を記述するXMLベースの言語XrML(eXtensible right Markup Language)を使う事で柔軟にその使用権限を記述する事が可能である。
RMSとIRMの情報保護

今後はRMSをより発展させたDRMが実現するだろう。筆者が期待するP2P用のDRMは以下の通りである。

その1)P2Pで流通したコンテンツは使用回数、機能制限がある。解除鍵を購入すれば使用、機能制限は無くなる。
その2)P2Pで流通したコンテンツは閲覧できる解像度が若干悪い。解除鍵を購入すればフル画像で見られる。
その3)P2Pで流通したコンテンツは閲覧できる時間が限られている。解除鍵でその制限は無くなる。
その4)以上のモデルで解除鍵はアンケート記入や物品購入、クーポン券を使う事で代用できる。
。。。。

XrMLという柔軟な記述言語により広範囲に渡り著作権を考慮したコンテンツ流通において面白いビジネスモデルが考えられるだろう。多くの人が活発にP2Pにおけるコンテンツ流通のあり方を著作権を考慮に入れながら検討する時期が既に来ている。


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2004.05.16

[P2P]注目のP2P書籍

今まであまり技術的なP2P書籍がなくて非常に困っていたが、Amazonを見てみたら面白そうな本があったので紹介します。ただし、タイトルと概要だけで判断しているので実際買わないと良書かどうかわからないです。本当は私が買ってレビューしないといけないのですが、あまりお金がなくて。(笑)

会社や組織で本が購入できる方、一度トライしてレビューをして下さいね!ただし、今回はカンファレンス等の議事録的なものや論文集、特定アプリーションに対する解説書は省きました。あと、GRID系もあまり私の知識がないので省いています。というか、日本語で最新動向を含めて技術的な事に突っ込んだ本、だれか作りませんか?

Handbook on Theoretical and Algorithmic Aspects of Sensor, Ad Hoc Wireless, and Peer-To-Peer Network
期待の一冊。センサーネットワーク、アドホックネットワーク、P2Pのアルゴリズムが書いてあるらしい。欠点は値段が高い事と、今年の10月に発売される事。はやく出版してホシイ。。。

Legitimate Peer to Peer Network Applications:Beyond File and Music Swapping
「Legimate」とあるように「合法的な」P2Pアプリケーションについて書かれているようだ。ダウンロード販売のみ。
面白いのは、欧米では「Music Swapping」つまりファイル「交換」なんですね。

MorphMix - A Peer-to-peer-based System for Anonymous Internet Access
P2Pの匿名システムの本。MorphMIXは匿名通信路MIXnetをP2Pに応用したもの。
MorphMIXとは?

Scalability of Lookup and Search Overlays in Peer-to-Peer Networks
P2Pネットワークでの探索についての本。おそらく分散ハッシュについて解説していると思われるのでこれは買いかな。個人的にも購入しようと思う。

Peer-To-Peer Computing: Technologies for Sharing and Collaborating on the Net
P2Pの全般について載っているらしい。概要は不明。

Peer to Peer: Collaboration and Sharing over the Internet
これも全般を網羅している一般的な本だろうな。。ただし、出版社が堅いところなので、結構内容が充実しているかも。

他にも、お勧めの本があったら教えてください。皆様のレビューお待ちしています♪


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2004.05.15

[P2P]秘密分散法による鍵供託の信頼性について

先日では分散ハッシュを使った掲示板において、秘密分散法を使って秘密鍵を複数ノードに情報を分割し、一定の手順・権限がないと、個人情報が取得できない鍵供託の原理を用いた匿名システムを提案した。

さて、それについて少しだけ補足する。
秘密分散法を使う時に、秘密情報Sが例えばN個の情報(s_1,s_2....s_N)に分割されるわけだが、閾値P個だけ情報がないと、本当に秘密情報Sがきちんと秘密分散方によって情報が分割したかわからない。つまり、ある人が秘密分散法を使って情報を分散したと言っても、それが実は適当な数値である可能性が残る。

しかし世の中には上手い事を考えた人がいる。秘密分散法で一番有名なShamirの多項式補間法を使う場合でも、適当な処理をすると、秘密情報を分散された先のノードが、その情報が秘密情報Sをきちんと秘密分散法で情報を分散した事が証明できる。もちろん、誰にも秘密情報Sがわからないまま。。このテクニックを検証可秘密分散(VSS:verifiable secret sharing)と呼ぶ。ちなみに秘密分散法はSSSと略記することもある。

このVSSについて詳しくは岡本龍明著「現代暗号」産業図書刊を読んで欲しい。この本はセキュリティについて幅広く理論から参考論文まで網羅しているので、セキュリティ理論に関心を持つ人には必携の書である。

P.S.ちょっと宣伝:

クラシックの女性アカペラグループ「アンサンブル=プラネタ」の5枚目のアルバム「Romance」が5/19に発売されます。美しいハーモニーだけなく、楽曲のモダンなアレンジにクラシックファン以外でも人気が高まっています。是非下記のURLあるいはCD屋さんで試聴してみてくださいね。ちなみに過去のアルバムも完成度が高い出来です。眠れない夜にはよく聞いています。

アンサンブル=プラネタ公式HP
「Romance」収録曲リストと過去のアルバムが試聴できるページ

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2004.05.13

[P2P]匿名システムにおける局小的非匿名システムの提案

昨日のBlogで匿名システムの中で、ある一定の権限の人が正当な手続きをすればデータの削除、あるいは個人データの開示をする事が必要かもしれないことを説明した。今回はどのようにしてそのようなモデルが実現するか案ベースだが説明をしたい。今回は分散ハッシュでP2Pシステムを運用し、例として掲示板システムを挙げておこう。

まず、各ユーザname(ノードXとしよう)は公開鍵p_key・秘密鍵s_keyのペアを2つ作る。これを{p_key1,s_key1},{p_key2,s_key2}としよう。Node_ID=hash(name)となるノードAに対して、{p_key1,p_key2,name}を格納する。

通常ノードXは掲示板に書き込むときにs_key1を使って署名を行う。これを掲示板名bbs_nameにおいて
Node_ID=hash(bbs_name)となるノードBに書き込み、ノードBはノードAのp_key1を使って署名の検証性を確認する。ここまでは先日書いたとおりである。これに加え、ノードXはソフトウェア上で個人情報、アクセス時間などをs_key2で暗号化し、(かつこの情報はs_key2を使って署名を行う)ノードBに書き込む。これによって、ノードBには掲示板情報と暗号化された個人情報が格納されている事になる。ソフトウェアは改ざんしにくいことを前提とし、個人情報の暗号化については不正ができない(例えばIPアドレス詐称など)と仮定した。もっとスマートな方法があるかもしれないが。

さて、ここからが問題である。まず、s_key2は秘密分散方法によって閾値z1でz2個に鍵を分ける。いまz1=3,z2=5としよう。すると、
s_key2はs_keyz1,s_keyz2,s_keyz_3,s_keyz_4,s_keyz_5にわけ、それぞれNode_ID=hash(name)+y,hash(name)+2y,hash(name)+3y....となるノードに格納する。s_keyz_iは少なくとも3つ集まればs_key2に復元できる。ただし、s_key2を復元するにはNode_ID=hash(name)+q×yとなるノードの複数の協力がなければならない。

s_key2を得た場合、これを使って掲示板に書き込んだ時のノードXの個人情報が判明する。また、s_key2で電子署名をした削除要求により、ノードBはそのノードに対する書き込みをその部分だけ削除することができるようにシステムを作っておこう。

このシステムはP2Pノードに参加している数個のノードの協力が必要である。つまり、だれかが削除要求をしても、参加してるノードがそれが削除に当たらないと判断すれば、掲示板データは削除されないし、個人情報も漏れない。また、ノードの協力なしに組織や団体が一方的に情報を削除したり、調査をすることはできない。こうすれば、モラルが一定以上に保たれたコミュニティが生まれるし、調査なども適切な権限の下に行えると考えられる。

このような匿名性のバランスを保つ方法は今後ホットトピックになることだろう。

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2004.05.11

[P2P]匿名性のバランス

Blogアクセスが本日一万人が超えました。多くの人が私のBlogに訪れて頂いて事に感謝致します。あの事件を受けて、今日もHPは通常の4倍程度のアクセス、Blogにも2倍程度のアクセスがありました。この機会に多くの人がP2Pに関心を持って、正しい理解をして頂く事を切に希望致します。

Winny作者に対する支援が色々なところで行われているようです。関心のある方は下記のURLを訪れてください。
http://www.moodindigo.org/blog/

ところで、昨日ある方からメールを頂いた。それは匿名性についてどのように考えるかと言う事である。
その方からのメールを一部引用する。

>実は,私自身はむしろインターネットに匿名性はないほうが
>良い(場合が数多くある)と思っていたりします。
>今までインターネット上で様々なサービスを提供してきた経験からすると,
>何かあったときには身元が分かるようになっていないと
>大変なことになると思うんです。

P2Pにおける完全匿名は確かに素晴らしいアイデアではあるが、犯罪の温床になる可能性は高い。特にファイル流通ではそうである。そこで、例えば掲示板で例を取ると基本的には匿名だが、権限がある人が一定の正当な手順を踏むと個人の情報がわかる、あるいは書き込み等を強制削除することも考える必要があるのかもしれない。このような掲示板に対して通常は匿名性を保ちながらもある一定基準のきっちとした操作の元で匿名性を失うというアイデアは私のオリジナルアイデアではなく、知人の研究員のアイデアである。これをファイル流通にも応用することはできるかもしれないし、それによって不正コピーに対する抑止力になる可能性がある。

また、海外では暗号通信を行うときに、政府機関に対して鍵を預託し、一定の権限があれば暗号通信を傍受できるようなことを昔から考えられている。
第三者信託方式による暗号のリスク
キーエスクロウとは?
キーエスクロウ

ただし、これにはこのような権限を持つものがきっちりと公平に判定する事が必要であり、それを担保する事が一番難しいだろう。先ほどの掲示板モデルにしろ、キーエスクロウにしろ、例えばこのような権限を持つものが3人いて、3人が協力しないと個人情報がわからない(例えば鍵を秘密分散することで実現できるだろう)など工夫をすることは必要であろう。ただし、先ほど紹介したキーエスクロウは海外でも大きな問題(プライバシー侵害等)になっており、なかなか実現するには難しいようだ。

いずれにせよ、匿名性にはバランス感覚が必要だと感じている。


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2004.05.10

[P2P]ファイル流通の未来はどうなるか

今日のBlogやHPのアクセス数はいつもの倍のスピードで伸びている。もうご存知のあの件に関連することは間違いないでしょう。

さて、今後ファイル流通(ファイル共有という言葉はあまり好きでないので、著作権を意識してファイル流通としよう。)はどんな風になるのか、考えてみました。

1)より匿名性が高いファイル流通ソフトにユーザが流れる
これは一番ありそうな事である。実際にFreenetなど匿名性が高いファイル流通ソフトはいろいろある。また開発者もP2P匿名掲示板によってより匿名性が高いソフトを開発しているから、それらに乗り換えするユーザは多いだろう。

2)Netleaderのような「合法的」なファイル流通ソフトやネットワークできちんと購入できるDRM的なファイルダウンロードが増える
こちらについては現状では何ともいえない。ただし、警察が今回の件で徹底的に取り締まればこのような動きは大きくなるだろう。実際、DRMを使って著作権者にお金を支払う動きは日本でも活発になっているので、例えば有名アーティストがコンテンツを提供すればブレイクするかもしれない。私もこのような合法的なファイル流通を期待している。

つまり、ファイル流通が大きく2極化することが推測される。

心配なのはP2Pによるファイル流通を技術やビジネスモデルまで否定して欲しくはないということである。ご存知のとおり、P2Pでは多くのファイルを効率よく流通させることができる。例えばこのような流通ソフトを使う人は一律1000円/月だけ費用をもらい、それを著作権者に分配することも考えられるだろう。実際私の知人は日本人全員に一律X円徴収して、それを著作権者に分配することを研究していた。これはちょっと過激だが、コンテンツがあたかも電気や水道のように好きなだけ使う事ができることはユーザにとっても著作権者にとってもメリットのはずである。P2Pによる流通は非常に活発であることは著作権者側も充分わかっているのだから、それを逆に利用する手を全否定することはあまり得策とは言えないと思う。

では現実的な解はなにか?それはやはりハードによるコンテンツ流通の制限をかけることではないかと思う。
デジタルコンテンツで通信インフラを使い一番流通しているものはと言えば恐らく着メロがあげられるだろう。これは携帯というハードでのコンテンツ制御によって著作権者を納得させたシステムである。ではこれをテレビなどのホームネットワークに導入できないのだろうか?

一つの可能性としてSTBがある。デジタルTVの普及によりテレビの買い替え及びインターネット側からコンテンツを視聴できるSTBが一層注目されるだろう。しかし、STBにサーバだけで配信するのは非常にサーバに負荷がかかる。そこでユーザのSTB間でコンテンツをP2Pで流通すると面白いビジネスモデルができるのではないだろうか?STBはホームネットワークと連携する事で家電とアクセス制御などを行う。こうすれば著作権者にも納得がいくP2Pシステムができるだろう。「放送と通信の融合」が実現すればP2Pはより現実的なコンテンツ流通の解に挙げられるのだ。

いずれにせよ、P2P=「不正」と言うイメージはなんとか払拭したいと考えている。その点でメディアは合法なP2Pシステムをもっと理解し、報道すべきだと思う。

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2004.05.09

[GRID]双子素数問題

さて、昨日から始まりました新企画[GRID]ではGRIDで解決あるいは研究が進歩するだろうと思われるネタを順々に紹介しますので、よろしくお願いします。といって、早速ネタ探しにいろんな文献を読まないといけないので、大変な状態です。(笑)ネタ募集中ですし、皆様のコメントよろしくお願いします♪

今日紹介するのは双子素数というものです。取りあえず素数についての少しかいておきましょう。

素数については無限に存在する事が古くはユークリッドによって証明されています。その素数ですが、ある数xまでの素数の数はだいたいx/log(x)程度である事が知られています。これはかのガウスによって予想され、アダマールらによって1896年に証明されていて素数定理と呼ばれています。

さて、それに付随することですが、ある数x近傍の素数の密度は1/log(x)となります。こう書くと、log(x)は単調増加関数ですから素数の密度はだんだん薄くなる事が期待できます。ですからなんとなく、素数と次の素数の間隔はだんだんと空いていきそう、、と推測できるのです。

ところが、なかには素数と次の素数の間隔が2つしか空いてない素数があります。(つまりpが素数だとp+2も素数になるもの)これが双子素数です。例えば3851と3853が挙げられます。この双子素数が無限にあるかどうかはだれもわかっていなかったのですが、最近Jing-Run Chenらによって研究に進歩があったようです。
http://www.tekipaki.jp/~rootzx/html/Twin%20primes.html
ある数xまでの双子素数の数は(x/log(x))^2程度だろうと予測されています。
http://www.mcc.pref.miyagi.jp/people/ikuro/koramu/hadhi.htm

現在判明している双子素数の最大の数は51090桁の33218925・2169690±1だそうです。GRIDを使って非常に大きい双子素数を見つける事は研究に大きな影響を与えるでしょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8C%E5%AD%90%E7%B4%A0%E6%95%B0


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P2P勉強会の場所検討中。。。

現在、P2Pの勉強会の場所を探しています。

今のところ良さそうなのは、
武蔵野市民会館
http://www.city.musashino.tokyo.jp/benri/b_institution/siminkaikan.html
特徴:駅から近い、めちゃくちゃ安い!ただし武蔵野市に通勤、通学している人が参加しないとダメ。
友人に打診してみるか。。。

八王子市学園都市センタ
http://www.city.musashino.tokyo.jp/benri/b_institution/siminkaikan.html
特徴:八王子駅前すぐ。自宅から近い(笑)、でも普通の人は来るまで大変か。。。
プロジェクタも貸してもらえるので他の人の同意が取れればここでもいいかな。

台東区生涯学習センタ
http://www.taitocity.net/
特徴:ちょっと駅から遠いが、建物は新しい。プロジェクターも借りれるし、賃料も安い。

新宿文化センタ
http://www.shinjukubunka.or.jp/
特徴:最寄り駅が新宿駅とアクセスが良い。でも予約されてそう。。。

どなたか都内でアクセスが良い会議室情報をお持ちの方、ご連絡をお願い致します。

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2004.05.08

[GRID]ゴールドバッハ予想

先ほどP2Pの記事を書いたけども、今日はもう一つネタということで数学に関するものを一つ。(でもGRIDに関係あるのでやっぱりP2P関係か。。。)

セキュリティでは素数を使う事が多いので、素数に関する面白そうな本を探していたのだが、丁度読みやすくていろいろなトピックが載っている本があったので紹介します。

ブルーバックス「素数入門」

普通の整数論の教科書では載ってないネタあるので結構楽しめると思います。この本を読んでいたらこんな問題がありました。

ゴールドバッハ予想(今でも未解決問題)

1)6以上の全ての偶数は2個の素数の和で表わされる。
2)9以上の全ての奇数は3個の素数の和で表わされる。

例えば、8=3+5、9=2+2+5.....
これって問題自体が簡単なのでかなり気になるなぁ。といっても整数論なのでハマッたら仕事に影響してヤバそうだ。

現実的にはどの程度の大きさまで正しいか検証する方が良さそうだ。

このゴールドバッハ予想を検証するプログラムが載っているHPを発見!
もう少しスマートにプログラムを書き直せそうです。
このページは整数論関係があって面白いです。
http://www.pureweb.jp/~aoyagi/integer/index.shtml

で、この問題どうも実際グリッドでやろうとしている人がいるらしいです。この辺りのリンク集は下記を参照。
http://www2.117.ne.jp/~mat/dcomp/math.htm

こういう問題をみんなの力をあわせてGRIDで結果を出すと、P2Pコミュニティーがもっと認知されるかもね。

今後はGRIDでできるような面白い問題を少しずつ紹介しています。(多分。。。)

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[P2P]分散ハッシュの匿名性について(回答編その2)

昨日の回答に対して質問があったので、それについて御回答させて頂きます。

Fw◆GOZl+HH8q/gOQw氏の質問:

>Chordにおいてハッシュ空間が2^4=16の場合について考えます。
>tomo氏のページに習い、以下ではNode_ID=0のノードをノード0と示します。
>以下では、ノード0があるurlのリクエストを受けた場合について考えます。
中略:
>3:hash(url)=6 宛ての場合
>この場合も上と同様に考えると、まずノード1~5と9~15はリクエスト送信元では
>ないことが分かります。すると、ノード0への接続経路として考えられるのは
>「8→0→4→6」、「7→(15が不在)→0→4→6」のように、リクエスト
>送信元のノードがプロキシを介さず(多段中継なしで)ノード0に直接接続して
>いることが確定します。従って、ノード0には現在自分と接続しているノードが
>リクエスト送信元であることが分かってしまいます。接続してきたノードの
>IPアドレスを調べることは可能なので、匿名性が失われます。
>このように、Chordの中継を利用した多段プロキシでは匿名性が保証されない場合が
>あるように思うのですが、いかがでしょうか?

まず、ノード1~5についてはリクエスト送信元でないのは自明です。ただし、参加しているノードの一部がネットワークから離脱しているのにノードのルーティングテーブルに残っている場合、ルーティングテーブルに参加している他のノードに検索を依頼する場合もありますので、「非常に」レアなケースですが完全には否定できないかもしれません。

ノード9~15については、この場合ルーティングテーブルで丁度ハッシュ空間を1/2にするところ(つまりルーティングテーブルで一番遠くのノード)にジャンプ(すなわちノード1~5)すると思われるのでノード0には接続しないでしょう。ノード0はノード1~5に少なくとも一つノードが存在するかどうか自分のルーティングテーブルから推測できます。
このような事を踏まえるとノード0に接続しているノードが直接接続していることが推測できます。もちろん先ほど述べたような準安定状態ではこれが完全には肯定できないかもしれませんが。(あるノードが例えばノード1と回線の混雑等で上手く通信できない場合など)

一般的な非常に大きな空間で多数のノードが存在する場合でも通常のChordでは直接接続が推論できる場合があるでしょう。Pastryも同様です。

CANではこのような推測は難しいと思われます。(CANは単なるN次元空間ではなく、N次元空間の「トーラス」なので、ご指摘の四隅のノードが匿名性が低いと言う事はないでしょう。)

このような中間のノードによって要求元ノードに対する推測を回避するには各ノードが次にジャンプするノード(すなわちルーティングテーブルに含まれるノード)をある程度ランダムで決定すれば良さそうです。つまりいきなりルーティングテーブル内で一番最適なノードに飛ばすのではない可能性を作るのです。この方法はChordでもPastryでも有効です。もちろん、匿名性が高まった分だけ検索スピードは犠牲になります。

最初にこのシステムを考えた時には、はっきり言ってURLにアクセスする最後のノードから要求元を推測できるかどうかしか考えていませんでした。このような中間プロキシにおける匿名性に対する指摘を受けた事は大変ありがたいと思います。

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2004.05.07

[P2P]分散ハッシュの匿名性について(回答編)

私は懸賞を応募する事が好きなのだが、なかなか当たらない。ところが、アサヒビールの発泡酒のモニターに応募したら、「本生オフタイム」が1ケース当たった。(もっともこれは5万人に当たるのだが。。)
飲んだ感想は後味がすぐ無くなる感じで清涼飲料に近いかなと思った。ビールという感じは普通の発泡酒よりも苦味がかなり少ないのでビール独特のあの苦味が嫌いな人には良いのかもしれない。どんな食事にも合うと思った。

さて、Ringochの掲示板に私宛に質問があったので回答したいと思います。(基本的にはRingochなどの質問にも当Blogで回答したいと思います。)

>HPで紹介している「WEB匿名分散プロキシ」の項で、「ノードYはだれからurl_1にアクセスするように要求されて
>いるかわかりません。」とあります。これは確かにおっしゃるとおりだと思いますが、Chordを使う場合、この方法
>ではノードXの匿名性を確保しきれないような気がします。

確かにChordの場合、一番最初の処理で最悪の場合ハッシュ空間における右回り半分まで距離を縮められますからある程度どのハッシュ空間の範囲からアクセスしているかは判明します。でもこの程度であればハッシュ空間が充分大きくて(通常、ハッシュ空間は2^120程度)参加しているノードが多い場合、匿名性はあまり低下しないのでは、と個人的には思っています。Chordであってもこの方法では何個のノードを経由しているかわからないので、これ以上の情報は漏れません。CANやPastryであれば今回のような問題は生じないでしょう。

分散ハッシュ自体には基本的には匿名性を考慮されてない場合が多いです。しかしながら分散ハッシュの匿名性を強める研究は行われているようです。私も不勉強なので詳しくは紹介できませんが、そのリストを載せておきます。私もいずれ、勉強してBlog等で紹介したいと思います。

・AChord (Chordを改良して匿名性を高めたものらしい。)
http://thalassocracy.org/achord/achord-iptps.html
http://thalassocracy.org/achord/achord-iptps.pdf

分散ハッシュとはあまり関係ないが、関連してP2Pの匿名に関するトピックを載せておく。

・P5(Peer-to-Peer Personal Privacy Protocol,バイナリーツリー+公開鍵方式を使うらしいが。。。スケーラビリティーは良いらしい。)
http://www.cs.umd.edu/projects/p5/p5.pdf

・Tarzan(Mix-netの原理を利用するようだ。Mix-netのP2Pへの適用はHPにも書いてあるが、どの辺が違うのか見てみるか。。。)
http://www.cs.rice.edu/Conferences/IPTPS02/182.pdf

ちなみに今回参考したサイトは
Peer-to-Peer Online Resource
です。

もう一つ情報。P2Pでネットストレージを行う動きあるようですが、分散ハッシュでそれを実現する論文があるので紹介します。
PAST(分散ハッシュPastryを使う)
OceanStore(分散ハッシュTapestryを使う)

来週からこの辺りも勉強せねば。。。

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2004.05.05

[P2P]「分散ハッシュのP2Pアプリへの応用その2」アップしました!

今日は「子供の日」ということですが、関東地方は雨が降っています。。
昨日は八王子の「夕焼け小焼けの里」という所に行ってきたのですが、ここは鯉のぼりがたくさん設置されていて、空に映えて素晴らしかったです。

その帰りにP2P勉強会の場所を決めなければと思い、八王子駅の目の前になるセミナー室の値段をチェックしてきました。収容人数40人を午後貸切+プロジェクター+マイクで一万強か。。数100円のカンパを募ればなんとかなりそうだ。ただ、15人程度の収容であれば場所+プロジェクターを無償で提供して頂ける方から連絡を受けているので、人数が少ない場合にはそちらにしたいと思っています。企業、大学等で勉強会に協力して頂ける方、是非ご連絡をお願いします。(今回の講演はあくまでも健全なP2Pの話なので。。。是非!)
また、NAT越えの話について講演して頂ける可能性がある方を見つけたので、もう少し調整したいと思っています。

さて、本題ですがHPに「分散ハッシュのP2Pアプリへの応用~その2」をアップしました。これでとりあえずHPに載せる分散ハッシュについての話題は一通り終わったかなと思っています。もちろん、Pastryなどの話題については順次HPにアップする予定です。これからはグリッドやP2Pマルチキャスト、NAT越えあたりについてもう少し勉強していきたいと思っています。

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2004.05.04

[P2P]オーバーレイネットワークでのマルチキャスト(案)

今まで分散ハッシュについていろいろ見てきたが、P2Pマルチキャストを上手く実現できないか、というのが筆者が最初から考えていたことであった。ちょっと考えてみたので(まだ全然アイデアベース)書いてみる。

サーバレスでマルチキャストなソフトとしてPeerCastがあって、その仕組みは既に下記のHPで紹介している。
初心者向けPeerCast解説

分散ハッシュの概念を一部取り入れてスケーラビリティの良いマルチキャストシステムをなんとかできないものか。。。

さて、P2Pマルチキャストといえば、ツリー構造の方が相性が良さそうだ。分散ハッシュでもP-Gridやkademliaがあるが、これらは節にノードがない。2分木の説明は以下のHPを参照
2分木

そこで、枝にもルートにも葉にもノードがあって、一意的なNode_IDを割り当てたいと考えている。Node_IDの割り当て方は次のとおり。今、Node_IDを6桁の3進法の整数とする。
(1)ルートのNode_IDは10000
(2)ルート直下の節については右側の節が11000(これをノード1とする)、左側の節が12000(これをノード2とする)
(3)ノード1の直下の右側の葉(または節)については11100、左側の葉(または節)については11200
(4)ノード2の直下の右側の葉(または枝)については12100、左側の葉(または節)については12200
......
つまり、ある節のノードについて、 Node_IDの一番桁が高い0の部分を直下の右側のノードは1,左側のノードは2にし、それ以下の桁の数は0にする。これで2分木の各ノードにユニークなNode_IDをつけることができた。

新しいノード(これをノードXとする)が2分木に参加するには、ノードXが6桁の乱数R(10000<R<20000)を振る。
ただし、乱数の各桁に0は含まれないこと。ノードXはルートから乱数Rに近いノードを2分木で探し、もっともRに近いノードに接続する。ただし、検索途中で2つに枝が分岐してないところがあれば、そこにノードを挿入し、枝を2つにさせる。
(※一番良い手段は葉の深さを計測し、一番深さの浅い葉に新しいノードを追加することだが、参加ノードが多いとこの計算が高速にできるか気になる。。。)

逆にノードが抜けた場合はやっかりである。今、ノードPが抜けた場合、直下のノードQ、Sのうちどちらかが「一時的」にノードPの代わりをする。今回はノードQがその代わりをするとしよう。ノードQは乱数R1を振るのだが、今ノードQの
Node_IDを122200とすると、122200<R1とする。(ただし、R1は各桁に0を含まないとする。)これによって、R1がしめすNode_IDは必ずノードQ下部の葉を示す事になる。

2分木を使ってR1に一番近い葉を見つけ、そのノード(これをノードZとする)がノードPの代わりにする。ノードZはノードPのNode_IDを引き継ぐ。このときノードQはノードPの代わりをやめる。こうすれば、ツリー構造はネットワークでノードが離脱してもほぼ同じで、複雑なNode_IDの変換をする必要はない。

ルーティングテーブルは最低で自分の直上と直下のノードだけ知ればよい。もちろん、耐障害性を高めるのであれば、もっと大きなルーティングテーブルを持てばよい。

オーバレイネットワークでのP2Pマルチキャストについて、アイデアベースだが簡単に紹介した。ただし、これらの技法については帯域や遅延の影響は全く無視している。いずれにせよ、ツリー構造がマルチキャストには非常に有効なので、このような方法が今後考察されるかもしれない。皆様のアイデア、お待ちしています♪

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2004.05.03

[P2P]分散ハッシュとあいまい検索(DHT)

旅行から帰ってきてまだ調子が悪いです。。。今日も家でゆっくりしたいと思います。
久しぶりに朝からBLOG書いているので、どうもまだ頭が回らない。。

さて、分散ハッシュにおいてハッシュ関数はSHA-1などを使う。ハッシュ関数の場合、a~b(~はほぼ似ている文字としよう)だとしても hash(a) not ~ hash(b) であるから、あいまい検索などにはこのままでは使用しにくい。

例えば 「桜」というコンテンツと「桜坂」というコンテンツがあっても両者をハッシュ関数に掛けると関連性がほとんどなくなるのだ。これが分散ハッシュにおいてあいまい検索がしにくい理由である。

あいまい検索を可能とさせる一つの解はコンテンツについてキーワードを何個か設定し、それをハッシュ化して分散ハッシュネットワークに格納することである。しかしこれはユーザに大きな負担を強いる。有力な方法として、nameに関する語を自動的に区切って(例えば「桜坂」なら「桜」と「坂」)これらをハッシュ化してノードに登録する事も考えられる。

ここではローテクで解決する方法を考えてみよう。
ノードXが持っているコンテンツ名nameについてはご存知のとおり、Node_ID=hash(name){これをノードAとする}にnameとIPAdress_X格納する。すなわち、ノードAはコンテンツ名nameについて知る事ができる。さて、掲示板だとトップページがあって、そこにスレッドの一覧がある。そこで、分散ハッシュネットワークに対してそのようなメタデータを格納するノードを複数設け、そこにnameデータの一覧を格納しておく。このようなノード群をノード群Pとしよう。(ノード群Pは各ノードと違ってnameに関する最小限のデータしか保持しないとする。)

各ノードはノード群Pと通信して、ノードの生死についての情報を送っておく。ノードが死んでいる場合にはそのノードに関する情報をノード群Pから削除する。ノード群Pは素のnameを格納しているからあいまい検索が可能である。(データ格納について0<Node_ID<10000についてはノードP1に格納、10000<Node_ID<20000についてはノードP2に格納ということも考えられそうだ。。あまり効率は上がらないが。)

このようにすれば確かにあいまい検索が可能だが、これだとノード群Pに負荷がかかるし、何よりも分散ハッシュのメリットがあまり活かされてない。残念ながら上の手段はあまりエレガントな方法ではないが、実装は簡単そうだ。

nameを適宜区切ってハッシュ化し登録する方法(方法1)と上記の方法(方法2)はどちらが良いのだろうか?方法1は、あいまい検索のキーワード分だけノードにアクセスする必要がある。またノードに対する負担は平等である。方法2は最低で一つのノードで検索可能だが、ノードに対する負担は不平等でノード群Pに大きな負荷がかかる。ただし、方法2では素のnameを保持しているので例えば「桜坂」を探す場合、「花」とか「道」などのnameに含まれている語彙以外のキーワードでもヒットできる可能性を秘めている。つまり意味の近いキーワードでヒットできるかも。(あくまでも可能性を述べただけで実装は大変。こうなるともうSIONetの概念に近くなるなぁ。)基本的には方法1の方がスマートだがもう少し考えてみたいと思う。

続きを読む "[P2P]分散ハッシュとあいまい検索(DHT)"

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2004.05.02

「分散ハッシュのP2Pアプリへの応用その1」アップしました!

昨日までソウルに行ってきました。今回はソウルの中心街というよりも弘大、梨大、押鴎亭洞など郊外に行ったのであまり日本人もいなく、ソウルの本当の日常を見たようで面白かったです。明洞なども良いのですが、時間があれば郊外でのんびり街を巡ることをお勧めします。また機会があったらソウル旅行記なども書いてみようと思います。

ところで、旅行の最終日になって頭痛がひどく、昨日は寒気が出るほどでした。原因は不明ですが旅の疲れがどっとでたのか、あるいは屋台なので食事をしたのが原因なのかなと思いました。今回もかなりタイトなスケジュールだったので次回はゆっくり旅行をしてみたいと思いました。

HPの方ですが、「分散ハッシュのP2Pアプリへの応用その1」をアップしました。基本的にはBlogで書いていたのをまとめて、少し補ったものです、分散ハッシュを使うと簡単にP2Pアプリが作成できることに驚くはずです。いずれはP2Pアプリといえば分散ハッシュを前提としたものになるでしょう。

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