[P2P]コンテンツ流通とメタデータ
P2Pのコンテンツ流通というとNTTコミュニケーションのNetLeaderを思い出す人が多いだろう。今回はコンテンツ流通とそのコンテンツの使用を調整できる技術である。
さて、コンテンツの使用許諾情報を示すメタデータとしてXMLベースのXrML(eXtesible Rights Markup Language)がある。XrMLはPrincipal(許諾される実体)、Right(許諾される権利)、Resource(許諾対象のリソース)、Condition(許諾条件)の4つのカテゴリーがある。具体的には次のとおりになる。
Principal:ある暗号鍵を持っている人が
Rights:聞くことができる
Resource:バイオリン協奏曲というコンテンツを
Condition:3回まで
と言う風に。
詳しくはIDG ディジタル放送教科書(下)を見て下さい。
さて、このようなXrMLのようなメタデータとコンテンツを一緒に流通させるとどういうことが考えられるだろうか?例えばコンテンツ会社から閲覧チケットを買った人はコンテンツがフルに利用できるが、チケットを買ってない人はその一部しか利用できない、と言った事が可能である。XrMLは柔軟に使用条件が記述できるから、2次流通や広告付きコンテンツなど新たなP2P流通モデルが生まれるかもしれない。
ちなみに、XrMLをベースとして、ディジタル放送の一種であるTV-AnytimeではREL(Right Expression Language)を検討している。TV-anytimeではコンテンツはもはや放送波だけでなく、通信から入手することも考慮されている。いずれはTVのコンテンツがP2Pで流れ、他人が視聴する時課金するなどのモデルを考える事も必要だろう。そうすれば、テレビ番組を見逃しても、P2Pで通信路からいつでも見る事ができる。
XrMLはゼロックス社やマイクロソフトが強力に推進している。例えばマイクロソフトはWindows 2003 Serverに対して、コンテンツの使用条件を細かく設定できるRMSを既に世に出している。このようなコンテンツマネジメントはセキュリティの観点からも広く使われる技術となるだろう。
さて、P2PネットワークでXrMLを活用しようとする資料がこれ。
「P2PネットワークにおけるオープンDRMシステム」
ところで、XrMLはコンテンツとなんらかの方法でバインドしなければならない。この方法として電子透かしが提案されているが、動画の電子透かしはなかなか難しいようである。後述する私の研究では、電子透かしではなくコンテンツのハッシュ値を使ってバインドする方法を提案している。
XMLベースでP2Pコンテンツ流通を促進、課金する方法は私も研究した事があるので、関心のある方はHPを見て欲しい。
| 固定リンク
「P2P」カテゴリの記事
- WebRTCを実現するためにSTUNだけでなくTURNも必要な理由(2015.01.08)
- [P2P]P2Pストリーミングのサーベイ文書について(2014.11.09)
- Winnyの開発者、金子 勇氏の急逝を悼んで(2013.07.07)
- 「分散ハッシュシステムでのNAT超えの考察」に対する質問について(2012.12.16)
- [P2P]Websocketでブラウザ間P2P通信は実現できるか?(その2)(2011.11.20)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
NetLeader、いろいろなところで反響があるようですね。まず、P2Pで「著作権を守りながら」コンテンツ配信ができるビジネスモデルを示されたところが素晴らしいと思います。
P2Pで課金をする以外にも、著作権者の許諾範囲内で加工や使用することも興味があります。例えば、ある音楽素材をHPでアップしてそれをBGMに使えば、自動的にISPから著作権料を課金される、そんなシステムがあればコンテンツ流通がもっと素晴らしくなりますね。
またいろいろ、コメントや議論をさせて下さい。
投稿: Tomo | 2004.04.10 00:04
DRMというキーワードでブログ散策しておりましてコチラを拝見させていただきました。
P2Pについての有用な情報がスッキリ整理されていてとても勉強になり、迷わずブックマークさせていただきました。
文中触れていただきましたNetLeaderですが、多くのユーザ様からのお声を反映しまして機能拡張しており、WindowsMediaだけでなく画像や文書なども安全に超流通できるよう開発を進めております。
ベータ公開した際には是非ともお使いいただきご意見などいただければと思っております(^^;)
投稿: 小柴聡 | 2004.04.09 18:07